富士山バリエーション 主杖流し~剣ヶ峰&完全版お鉢巡り
9/16(金) ひさびさの富士山へ行ってきました。
かつては毎年登っている時期もありましたが、ここ数年はとんとご無沙汰。高所の感覚を思い出すためにも行ってきました。
前夜、富士宮口5合目で車中泊。夕方の雲海と日没後の星空が見事でした。結構電波がしっかり繋がり、だらだらスマホを見てしまい就寝が遅くなってしまいました。これが翌日の寝不足、ひいては頭痛を引き起こすことに繋がります…(反省!)
一般道の4ルートはすべて歩いたことがあるので、今回はバリルートの主杖流し(「しゅじょうながし」と読むらしい)から登ってみることに。単独で不安もあったので、強風時などコンディションの悪い時は6合目で分岐せずそのまま富士宮ルートを登るつもりでした。
睡眠不足のため二度寝してから富士宮口5合目より出発。天気は最高! この時点では風もほとんどなし。
美しい朝。
6合目へ登る途中、シカを見かけて驚き。さらにこの後、カモシカらしき動物まで見かけました。
主杖流しの取り付きは富士宮口6合目付近より、御中道をたどりひたすら西にトラバースしてたどり着きます。
事前に6合目手前のブル道から御中道に入るとよいというブログを見ていましたが、地図を見るとブル道は左右に蛇行し歩く距離が長くなりそうなので、普通に登山道を登って6合目からトラバースすることに。
ということで、6合目の小屋をすぎて小広場の先のカーブからブル道に入りましたが、入り口に踏み跡が薄くわかりづらいのと、そのあと御中道に向けて下るところがある(つまり無駄に登っている)ので、やはり6号目手前のブル道より入った方がよかったと思いました。
御中道は岩にペイントがあったりしっかり踏み跡がついていたりで、わかりやすかったです。途中、2か所ほど大きな沢をわたるところがあります。
取り付き(ヤマレコでは標高2724m)で行動食を食いだめして出発。写真は少し登ったところで、主杖流しはこのような溶岩流の跡の滑り台的な岩場を登っていくルートです。
どんどん登って振り返ると結構高度感があります。
前日までいた南ア南部がずっと見えています。右から、塩見~荒川~赤石~聖~茶臼~光~深南部あたり?
さらに高度をあげると北部の方も見えてきました。こちらは甲斐駒~仙丈~白峰三山かな。
取り付きでクリームパンを食べた以降は固形物をとる気にならず、1時間に1度、KODAジェル1本を摂取して乗り切りました。少し登っては休むという感じで、だいたい1時間に標高差300m~360mを登るペースでした(足場が崩れやすいためあまりゆっくり登れない…)。
ずっと岩場かと思っていましたがザレ場もあり、できるだけ足場の崩れにくい岩をつなげて登っていきました。手を使うかどうかの割合は半々くらいですが、上部は傾斜が結構あり下りは怖いなと感じる場面もありました。敗退が難しいので取り付きで慎重に判断する必要がありますね。
瓦のような印象的な岩。いかにも溶岩の跡という雰囲気ですね。
謎のワイヤーが出てくるともう少しで頂上。左のスカイラインに先行パーティが映っています。先行のお二人は主杖流し手前、2867標高点がある尾根を登ってきたそうです。地形図では尾根に見えませんが、現地で見てみると他にも登れそうな尾根があり、いろいろたどってみるのも面白いかもしれません。
オフシーズンの平日とあって他の人は見かけず、人為的な落石にそれほど気を遣う必要がなかったのは助かりました。
登頂!
測候所の裏手に登りつめ、右手に少し下った壁際から一般道に抜けました。
休憩後、時計回りにお鉢巡りを開始。せっかくなので前からやってみたかった全ピーク登頂にチャレンジ。
- 剣ヶ峰 最高峰。主杖流しより登頂
- 雷岩 ピークではないですがせっかくなので。北側から空荷で。一部ボルダリング風。下り注意。
- 白山岳 尾根通し。山頂手前で巨大な岩峰を巻きます。逆からだと下れるか微妙。山頂手前に風穴があって面白い。
- 久須志岳 特記事項なし、容易
- 大日岳 特記事項なし、容易。山と高原地図では道表記ないですが尾根通しに下りられます
- 伊豆岳 東側が崖が続くためいったん山頂を通り過ぎ、引き返すような形で尾根に出る。下りは尾根通しにいけますが、小ギャップあり慎重にいくこと。下が一般道のため落石厳禁
- 成就岳 特記事項なし、容易
- 駒ヶ岳 特記事項なし、容易
- 三島岳 特記事項なし、容易
ということで全8ピーク+雷岩に登ることができました。念願かなって満足です。この完全版お鉢巡りに1時間40分をかけ、時間的にもいい頃合いになってきたので、さっさと下ることに。
白山岳手前の岩峰。右から巻きました。写真だとスケール感わかりづらいですがかなり大きいです。何本かクラックがありましたが、登っている人いるんでしょうか?
この岩峰をまくと山頂手前に風穴がありユニーク。くぐり抜けられました。
下山は富士宮口ルートの上部が落石工事中で重機が動いていたのもあり、御殿場ルートから宝永山経由で戻ることに。いわゆるプリンスルートですね。じぐざぐ道を無心で下り、砂走をざくざくと下って宝永山へ。宝永火口は何度見てもデカいな~!
火星を歩いているような風景が広がる宝永山、結構好きです。この頃には登りでずっと感じていた頭痛は解消され、食欲も戻って元気になりました。高度順応できた感覚があり足取りは軽く、6合目への登り返しで何人も抜かし、無事富士宮口5合目へ下山しました。
高所の経験なら大阪で低酸素室でもできるしわざわざ行かなくても…と考えた時もありましたが、やはり山に登ると多くのことを教えられますね。
特に印象的だったのが、上部の岩っぽいところで呼吸が苦しく、体を持ち上げきれない瞬間があったこと。通常、パッと見て感覚的に「ここは登れる」「ここは登れない」を判断する必要があるわけですが、その感覚が平地(低標高)とは違うなと。これは理屈ではなく感覚的なものなので、低酸素室を使ってマシンで走るような形ではなく、実際に高高度の山を登って身に付けるしかないように思いました。
主杖流しルートは意外と(気を遣うだけで楽しくない)ザレ場が多く、リピートはしばらくいいかなと思いますが、機会があれば他のバリエーションからも登ってみたいなと思います。
収穫の多い人生10回目の富士登山でした。
時間記録
5:45 富士宮口5合目出発~6:05 6合目~6:30 分岐~7:50 主杖流し取り付き 8:10~11:25 剣ヶ峰 11:40~13:40 御殿場ルート下山開始~14:50 宝永山山頂~15:35 富士宮口5合目帰着
以下、参考にさせていただきました。
https://koujouchou2.naturum.ne.jp/e1244851.html