山桜のナメゴ谷展望とナメゴ谷の盟主・高塚山を訪ねる
秋には尾根筋の紅葉が“昇り龍”のようだと話題になる奈良県上北山村のナメゴ谷ですが、ヤマザクラが美しい春もオススメです。ナメゴ谷の展望スポットからは立派な尾根を張り出した山が見えますが、この山の名を知る人はあまりいません。実は高塚山という名前がちゃんとあり、登山道もあります。ナメゴ谷の盟主ともいうべき山なら一度は登らねばということで、行ってきました。
国道309号線のナメゴ谷展望スポットより。正面やや左の穏やかな山が高塚山です。その右のピークは地図上1418mピーク東隣の無名ピークで、さらに右にいくと一の垰(タワ)方面となります。
紅葉のように一直線の筋とはなりませんが、点々と咲くヤマザクラの色合いがきれいです。
行者還トンネル東口の登山口から高塚山を目指します。崩壊していた林道が整備されていました(入口のみ)。
林道入口からは正面に大台ヶ原が見えます。
荒れた林道を歩き、尾根に取り付きます。標識が朽ちていますが…テープがあるので、見落とさないように。
印象的な巨木を眺めながら自然林の尾根を登っていきます。
尾根を登りつめて大峯奥駈道に出ると、周囲の山々がよく見えます。こちらは近畿最高峰・八経ヶ岳(左)と弥山。
印象的なトンガリ具合の鉄山。
これからたどる高塚山への尾根。右手前から左奥へ、下り基調で向かっていきます。こちらからも尾根筋に自然林が残っているのがよくわかりますね。一番奥は大台ヶ原です。
一の垰には新しい標識ができていました。
歩いてきた大峯奥駈道を振り返る。奥駈道の中でも歩きやすい区間です。
奥駈道から離れ、高塚山を目指します。道は基本的に尾根上で、こまめに新しい道標が設置されていたり、尾根が広いところにはロープが張られていたりしてわかりやすいです。
ただし、その整備も1418mピークまで。ここで尾根が分岐しており要注意。高塚山方面に進むとテープ等ほとんどなくなります。
ここから次のピークまで、これまでの穏やかな様子から一転、岩峰をまいていくところが三連続で出てきます。
右手には八経ヶ岳から釈迦ヶ岳へ続く稜線がずっと見えています。写真は孔雀岳(左)と仏生ヶ岳(右)。八経~釈迦縦走の際はどちらも単なる通過点という印象ですが、この角度から見ると存在感のある立派な山でした。特に仏生ヶ岳が巨大でした。孔雀岳からは十郎山まで続く長い尾根が左に延々と続いており、一度は辿ってみたいものです。
岩峰のピークから一旦下って少し登り、高塚山へ到着。意外にも南側が崖となったせまい頂上でした。三角点と朽ちた標識が引っかかっているだけの静かな山頂です。
今回は一の垰の標高が約1500mで、そこから1418mピークを経由して1363.7mの高塚山へ尾根をたどっているため、基本的に往路が下り、復路が登りとなります。というわけで登り返しの帰路となりました。
下山後、カーブを曲がったところでカモシカに遭遇! ひさしぶりの出会いでした。
山頂は樹林の中と聞いておりどうだろう?と思っていましたが、山の中はまだまだ落葉しており展望の山歩きとなりました。今回は最短距離となる行者還トンネル東口から往復しましたが、90番標識から入山する通称タイタン尾根などと組み合わせて周回するとより充実すると思います。皆が写真をとっているナメゴ谷の真っただ中を人知れず歩くというのもユニークでいいですね。秋の紅葉も期待できますし、季節を変えてまた訪れたい山でした。
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