奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

御在所 中尾根クライミング P4~P1全6P

11/22(水)

前回の後尾根に続き、実は年明けに書いている記事シリーズ(?)第2弾です。

以前から気になりつつずっと踏み出せなかった念願の中尾根へ行ってきました。結果、自分にはかなり負荷の高い山行ではありましたが、ひさしぶりにアルパイン的なクライミングができ、やっぱり気楽なフリークライミングだけでなくこうした登山を積み重ねていかないとな、と身にしみた1日となりました。経験豊富なパートナーに感謝です。

↑の写真は既に中尾根に取り付いてからのものですが、この日は最高のクライミング日和。

前夜、各々テント/車中泊し、この日は裏道登山口に集合。藤内小屋を経由し一の壁へ。一の壁でザックを1つにまとめた後、中尾根バットレスの基部をトラバースして、1ルンゼ右俣を横断。この先で悩みました。

当初はP4基部を巻いてP4取り付きまでいこうと考えていましたが、笹薮を掴みながら下降する微妙に悪そうな箇所(落ちたらダメ)があり、そこを避けて岩場の隙間をトラバースすることに。するとP4の1P目終了点に出たため、ここにザックをデポして懸垂し、取り付きを目指すことにしました。

が、ここでトラブル発生。懸垂したのはいいものの、ロープの結び目が挟まってしまい回収不能に。パートナーが登り返してくれ、再度懸垂し事なきを得ましたが、時間をロスしてしまいました。もう少し壁から離れてロープを引けばよかったか?と反省……。

気を取り直して1P目スタート。先ほどの登り返しでパートナーは実質登っているということで、自分がリードすることに。

この後交互にリードを交代していきましたが、P2の崩壊したパートやワイドクラック的なP1など、比較的難しいところが偶数ピッチの方にまわってくるので、自分は奇数担当でよかったです。

1P目は無難にOS(FL?)し、2P目はパートナーリード。ここだけ写真が残っていませんが、特に難しいものではなかった気がします。終了点からはクライムダウンしてP3取り付きへ。

3P目、自分のリードでP3のてっぺんまで。1つ目の終了点をスルーして2つ目の終了点まで伸ばしました。短く懸垂してP2取り付きへ。

4P目、P2の取り付きは崩壊してアブミを使うのが定番と聞いており、私たちもアブミを持参していましたが、パートナーはアブミなしで突破。写真中央やや右の挟まっている、一見かなり不安定そうな岩に体重をかけるのでなかなか見ていてこわかったですが…。実際には安定しているように感じられましたが、いつかはこの岩も落ちるのでしょうか。トラバースが入るのでフォローでも結構怖かったです。

4P目のフォロー。崩壊箇所を抜けると簡単になりました。

5P目。P2の2P目ということになります。1つ目の終了点をスルーしてさらにロープを伸ばしましたが、だんだんロープが重くなってきたのもあり、↑写真に写っている最後の支点(アルパインクイックドロー)を過ぎたところでフォール。登れない、となったときに戻ってドローを掴もうとしたのですが、判断が遅く腕がもちませんでした。アルパインで避けるべき本気フォールをやってしまいかなり反省……。フリーにこだわりすぎました。この後、もう少し探りましたがやはり登れず、結局A0して抜けました。さらに残置スリングがかかった2つ目の終了点もスルーし、一番てっぺんの終了点でビレイ。

↑5P目をフォローするパートナー。背後がP3です。

P2のてっぺんに着いた時点で結構いい時間だったのでP1は割愛するのもありかな?と思いましたが、モチベーションあふれるパートナーは「いきましょう!」とのことで続行決定(おかげでよい経験ができたと思ってます!)。懸垂してP1取り付きへ。

最後は懸垂して取り付きに戻ってくるため、リードもフォローもザックを置いていきました。最後の6P目はパートナーリードでしたがかなり苦戦しており、1回テンション。ワイド的な感じでヘルメットを外して越える場面も。フォローした自分もなかなか辛く、名張のクラックを思い出しました。2ヶ所核心部があり、身体のサイズによって2人で感覚が違ったのが面白かったです。フォローはまだ気楽ですが、支点も取りづらく、P1だけそれまでのピッチに比べ一段と難しい印象です。

P1の終了点にて。お疲れさまでした!

が、まだまだ気が抜けません。まずP1の取り付きまで懸垂1回で戻ります。その後、P2の側面をマイナスの滝の上へ懸垂1回。今回はハーフロープ50m×2本でしたが、マイナスの滝上への懸垂は50mだったのでちょうど届いた、という感じでした。

少しだけ登り返し、P3・P2のコルへ。ここから1ルンゼ右俣へ通算3回目となる最後の懸垂。50mいっぱい下り、あとはクライムダウンを交えながら下ると往路のアプローチに合流し、一の壁のザックデポ地点まで戻りました。

↑暗闇の中、最後の懸垂。

ライトを点けて下っていったわけですが、ここで結果的に一の壁へのよりよいアプローチを発見できました。以下自分メモより

フィックス通ってから小滝下りずに右岸沿いの岩棚下降
巨樹ありそこからも右岸岩棚下降
これで本流戻れた
行きに本流わたったところですぐ右岸入ればよい。こっちの方が安全
テスト岩前のワンポイントいやな登りをする必要がない

というわけで次回は登山道を外れてすぐに右岸に入ってみようと思います。

 

このところ整備されたゲレンデでのフリークライミングばかりで、今回のようなプレッシャーのかかるアルパイン的な山行はひさしぶりでした。先を見越して動くことや、判断の連続でだんだん体だけでなく脳ミソが疲れていく感覚など、やはりアルパインはグレードだけでなく経験がモノをいうことを思い出しました。

ヘッデン下山が確定したP1以降はなかなか自分にとってはくたびれましたが、パートナーのおかげでよい経験が積めたと思います。将来は自分がリーダーとして再訪できるよう頑張りたいと思いました。

これで1年の間に御在所の前・中・後の各尾根を登ることができました。まだまだ御在所には遊べる場所がありますし、本当に近くてよい山だと思います。

 

使用ギア

ハーフロープ50m×2
カム キャメロット0.3~4番、トランゴ5~9番(キャメ0.75~4相当)
ヌンチャク×7、アルヌン60×4、120×2
ナッツキー×1

 

時間記録

7:35裏道登山口・発~8:05藤内小屋~9:05中尾根バットレス基部~9:20 P4の1P目終了点より懸垂下降準備~10:30頃、1P目登攀開始~13:00 P2取り付き~15:00 P1取り付き~16:30 P1終了点集結~17:15 P3・P2のコルより最後の懸垂下降~18:10藤内小屋~18:35裏道登山口

 

参考url

アプローチや概念の把握に大いに参考にさせていただきました。

kyokarakimiwa.com