御在所 αルンゼ~3ルンゼ継続アイスクライミング
2023/2/8(水)
御在所岳にアイスクライミングに行ってきました。昨年のシーズン終盤に計画したものの、雨予報により中止したαルンゼ~3ルンゼの再挑戦です。結果、いろいろと反省点はあったものの、なんとか無事に完遂することができました。入門ルートではありますが、氷の経験の少ない自分にとっては大きな第一歩となりました。
蒼滝駐車場に集合し、荷造りをして出発。冬期ゲート前の路肩にも10台程度停められるようですが、もし満車だった場合に右往左往するのが嫌で蒼滝駐車場を選びました。ゲート前は平日とあって数台しか停まっていなかったので、結果的にはゲート前でも問題なかったかもしれません。蒼滝駐車場にはお手洗いがあり有難いですね。
これから登る御在所岳を望む。気温が高い日ですぐに薄着になりました。
鎌ヶ岳の存在感が素晴らしい。ネパールで見たランタン谷のガンチェンポを思い出しました。
藤内小屋までさくさく歩き、途中からチェーンスパイクを付けてさらに進みます。小屋をすぎてしばらくの水場で水を最終補給としましたが、思っていたより小屋からそう遠くなかったので、小屋で汲んだ方がスムーズでした。土地勘がないところはこういう細かな部分がわかりづらいですね。
いつかは登りたい1ルンゼを見上げながら、裏道登山道を上がっていきます。
↑今回登ったαルンゼ遠望(帰路、裏道より撮影)
αルンゼはアプローチの詳細が見つけられず不安に思っていましたが、わざわざネットに書くまでもない程度ということなのだろうという予想通り、そう難しいものではありませんでした(前日のトレースがあるだろうという打算もありましたが)。裏道登山道から対岸にαルンゼ右隣の崩壊地(地形図に記載あり)が見えたあたりから登山道を外れ、小さな谷をわたってルンゼに入っていくことができました。ギアは登山道を外れる直前につけましたが、取り付き付近は谷状地形で落下物の心配があるため、これはよい判断だったと思います。
谷をそのまま詰めると崩壊地の方に行ってしまいそうになりますが、左側にそれらしい氷のラインが見え、これがαルンゼだろうということで左の方に登っていきます。トポの1P目はフリーソロしている記録があり、いくら容易とはいえ氷のフリーソロは……と思っていましたが、実際見てみると確かにこれはロープ要らないのではというレベルで、私たちも各々フリーソロすることにしました。
ただ上部はワンポイント立っている部分があり、パーティによってはロープを出した方がいいと思いました。
立木でビレイポイントをとり、トポの2P目から今回の1P目を開始します。
今回の1P目の氷。岩の右側を登りました。かなり水氷で崩壊やすっぽ抜けが怖く、何度も打ち直しをしてしまいました。スクリューは場所を選べば16cmでも入りました。
今回の2P目(トポでは3P目)の氷。写真右側に映っている木をビレイポイントとしました。左下の岩の裏側にボルトがひとつ打ってありましたが、今回は使用せず。氷はできるだけ強点をせめたいと思っていましたが、本番の雰囲気にのまれてしまってそんな余裕はなく、右側の傾斜の緩いラインから抜けました。
このあとは氷の廊下状となり、雪に変わったところで立木でビレイ。そのあとはパートナーに念のためロープを引いて上がってもらいましたが、すぐに前尾根P1・P2のコルに出ました。数歩だけP1側に進んだところから下降しているトレースがあり、それをおって藤内沢に降り立ちました。さらに藤内沢本流を下ると右側に3ルンゼ方面へのトレースがあり、3ルンゼに登り返し。ところどころ深い踏み抜き跡があって恐ろしかったです。
3ルンゼ全景。今回氷のピッチは実質1P目だけでした。写真をとっている場所から氷をまったく登らずに左上に歩いて抜けることもできます。1P目を登ったあとは今回登ったルンゼ状のラインと、左上にナナメにあがっていくラインが考えられましたが、多少は登攀チックな右のルンゼをたどるラインとしました。
3ルンゼをリードするワタシ。ここももう少し強点をつきたかったですが、スクリューを打つのにバタバタしているうちに余裕がなくなってしまいました……。氷の上の立木に新しい残置スリングとカラビナがかかっていて、フリーの岩場のようでした。アプローチがいいので繰り返し訪れる人がいるのでしょうね。2P目に登ったルンゼ右側の鋸岩にはところどころしっかりとしたボルトが打ってありました。雪がないときに登ってみたいものです。上に抜けるとナイフリッジの岩尾根と誰かに聞いたような気がしていたのですが、実際にはすぐに登山道に抜け拍子抜けして終了となりました。
下降は中道か裏道で迷っていましたが、だんだん天気が崩れ雪が降ってきたので、わかりやすい裏道でさっさと下りることに。この日は冬型の気圧配置でしたが、下るにつれて天気が回復し、御在所は日本海側と太平洋側の気候が混じっていると言われるのがよくわかるようでした。
まとめ
今回は全ピッチリードさせてもらい、よい経験を積むことができました。普段練習している大峰と比べて氷自体の傾斜はかなり緩いものの、本番の落ちてはいけないという雰囲気にのまれて、動きがかなりぎこちなくなってしまいました(もちろん練習でも落ちちゃダメですが)。具体的には打ち直しの回数が多かったり、身体のバランスが崩れていたり。これは回数あるのみだと思いますので、無茶ではない範囲でリード経験を増やしていきたいです。
最大の反省点としては3ルンゼのリード中にスクリューを落としてしまったことです。支点をとるために左側のスクリューラックからスクリューを取り出そうとした際、よく見えておらず若干の不安があったのですが、まぁ大丈夫だろうとそのまま取り出したところ、手にとったのとは別のスクリューが落ちてしまいました。幸い氷瀑を見に来ていた別パーティの方に拾ってもらい事なきを得ましたが、あってはならないことで大反省です。スクリューのセットの仕方や取り出し方、ラックの場所など再検討したいと思います。
とはいえ全体的には予想していたスケジュール通り進行することができ、リードで落ちることもなく、ロープを出す/出さないの判断もそうおかしなものではなかったと思います。御在所の氷の感覚をつかめたことは大きな収穫で、来年は2ルンゼという目標を得ることもできました。
残念ながらこの後2/10、2/13と雨が続き、関西のアイスクライミングシーズンはもう終了したものと思われます。昨シーズンに続き今年も寒冬という前評判で期待していただけに大変残念ではありますが、シーズンアウト前に今回αルンゼ~3ルンゼを登れたのは本当によかったです。来シーズンに向けて、無雪期も頑張りたいと思います。
(あと余談ですが藤内沢が氷瀑見学のバリエーションコース扱いになっているようで、クライマーでない方の記録や姿も多く見かけ驚きました。時代ですかね…)
時間記録
7:00蒼滝駐車場集合=7:30出発~8:20藤内小屋~10:15αルンゼ1P目フリーソロ開始~11:50前尾根P1・P2コル~12:10 3ルンゼ到着~12:40 3ルンゼ登攀開始~14:00登山道合流~14:35装備解除後、裏道下山開始~14:45国見峠~15:45藤内小屋~16:35蒼滝駐車場帰着
参考
2019年1月に初めて3ルンゼを訪れた際のブログ。4年の時を経て自分がリードできるようになったことが感慨深いです。