台高・神ノ谷川大栃谷から白髭岳
8/23(火) 台高山脈・神ノ谷川大栃谷~白髭岳~南尾根下降
川上村最高峰・白髭岳に突き上げる沢ということで前々から気になっていたのですが、沢の経験値が少なく思いきれませんでした。先月、鈴鹿の渋川でゴルジュや滝の登攀をしたことで多少自信が持て、そろそろ行けるかなと思い切って行ってきました。
まとまった情報がないことも難易度をはかりかねる理由のひとつだったのですが、2021年に発売された『増補改訂 関西起点沢登りルート100』には遡行図が掲載されていることを後から知りました。自分も下山後早速購入したのですがこちらのガイド本では遡行グレード2級上となっており、実はこのグレードの沢に行ったことはあまりなかったので(渋川は2級~3級らしいですが他は1級程度の沢だったり、2級でも途中までしか行ったことがなかったり)、どうりで苦労したわけだと納得でした。
アプローチは神ノ谷川沿いの林道を終点まで入り、4台程度は停められそうな広場で準備を終えて、踏み跡よりすぐに入渓。
早速淵がお出迎え。ここで写真をとっている最中に落石があってビビりました……
このあともうひとつ同じサイズ感でしっかり泳がされる淵があります。今回から導入したモンベルのフロートベストが早速役立ちました。
小滝が連続し、楽しくこなしていきます。
積極的に濡れた方が沢は面白いですね。水はそこまで冷たくなく、ネオプレンの上着は着用せず。
序盤は側壁の造形や苔むした雰囲気が見事でした。
トチの木が中段に生えている2段12mまで来ると沢はもう中盤。ここは左巻きも可ですがせっかくなのでロープを垂らしてもらって、中央やや右から直登しました。
お次は2段15m。これは一見して上部が困難そう。この先もゴルジュが続くため、この滝は眺めるだけにして、記録通り左の岩壁沿いにいったん下るように戻り、土の詰まったルンゼを直上して巻きに入ります。
ルンゼを登ると岩峰のある小尾根に出て、ここから下っていくか、ちょっと上がって水平に進むかで悩みました。
試しに下ってみますがこちらは実は外れ。
ゴルジュ内部のつるつるの滝が見えました。
巻きは行き詰ってしまったので、小尾根まで登り返し、さらに少し登って薮っぽいトラバースに入ります。1箇所足元が切れ落ちているところがあり、ロープを出してもらってクリア。その後は歩いて沢に戻れました。
戻ってすぐに標高880mの2俣に到着。本流は左で、出合に3m小滝があります。
これを登ると大栃谷名物「洞窟のようなゴルジュ」が見えてきました!
すごい地形です。
内部の様子。格好いい写真を撮ってもらいました。笑
とても登れないので、2俣まで引き返し、左岸から巻きます。
この後もいくつか滝がありますがやがて伏流となり、黙々と歩き。しばらくすると遠目にこの沢最大の25m滝が見えてきてテンションがあがります。流れが戻り、6m滝を登り、続く前衛5m滝が少し渋かったですがこれもなんとか登り、25m滝とご対面。
前衛5m滝含め右岸から巻ける様子でしたが、じっくり見ているともしかすると登れるのでは?ということで、25m滝の直登にチャレンジしてみることに。
最終的には↑の写真のラインで登りましたが、これが大変でした。
下部は傾斜が緩いもののヌメヌメ。中段でなんとかカムが突っ込めるところがあり、ピッチを切ります。
その後、小ハングを避けて左からまわりこもうとするも支点がとれず思いきれず。諦めて左の薮トラバースに逃げることを試みましたが、これも落ちそうで怖くて思いきれず。結局リードを変わってもらってパートナーが直上に成功しましたが、自分はフォロー中にトラバースから戻るところでフォール! 滝で本気で落ちたのは初めてで、なかなかの恐怖体験でした……。切り傷擦り傷が多少できたくらいで大事に至らず助かりました。
その後も傾斜の強いナメ滝が続きます。右の尾根が近づいてきたところでそちらに逃げ、白髭岳山頂やや東の稜線に抜けて遡行終了。
入山から6時間くらいで山頂かなと思っていましたが、結局7時間半かかりました。午後の雷雨がなかったのは幸いでした。余裕があればあまり記録のないナカエ谷を下ろうと思っていましたが、もうヘロヘロで最短距離の南尾根から下山することに。
登山道のある西尾根を少し進み、標識のあるコルからトラバースして南尾根に入ります。すぐにモノレールが出てきて、あとはこれに沿って下るだけ。
下部はかなりの傾斜です。最後は皆が悩まされている倒木地獄にしっかり捕まり、大汗をかかされました……。
夏の間はカヤックや洞窟のガイドに明け暮れており、1ヶ月ぶりの山登りがこの大栃谷でした。山歩きのリハビリには充分すぎるくらいの充実度で翌日は全身バキバキでした。かなり疲れましたが巻きのルートファインディングや25m滝の登攀など、これまで経験してきた沢登りとは違う一段上の経験ができたように思います。25m滝の最後で行き詰ってしまったことは要反省で、登れるかどうか確信のないまま取り付くと大変なことになると身をもって学びました。いろいろな局面で助けてもらったパートナーに感謝です。また個人的に思い入れある白髭岳に沢から登ることができ、思い出に残る1日となりました。
あとは装備に関して、今使っているラバーシューズ(アディダスのハイドロレース)のサイズ感が滝の細かいスタンスに乗るときには大きすぎる気がするので、もう少しタイトなシューズを探した方がいい気がしてきました。今後考えてみたいと思います。
時間記録
7:50入渓~11:10二俣~12:40 25m滝前~14:05 25m滝登攀終了~15:05稜線~15:15白髭岳山頂~17:15下山完了
以下、参考にさせていただきました。