奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

大峰 小谷川沢登り(第2ゴルジュまで)

8/31(水)、奈良県上北山村にある大峰東面の小谷川で沢登りしてきました。もともと大台ヶ原のシオカラ谷を予定していたのですが秋雨前線が来てしまい、不安定な天候の中大きな谷に入るのが怖く、コンパクトで林道が近く、逃げやすい小谷川に変更しました。

小谷川で検索してみると自分たちと同じように悪天時や増水時の代替案として訪れている方が多く、増水している写真はたくさん見かけたもののいまいち平水時の様子がよくわからなかったのですが、今回は比較的平水に近い様子のレポになると思います。

アプローチとなる林道は落石が多く、たびたび除去しながら通行しました。パンクが怖い場合は手前の幅が広い所や建物近くのスペースに停めて歩いた方がよさそうです。入渓点となる橋を過ぎたところに駐車スペースがありましたが、木材などが置いてあり作業の邪魔になりそうなので、駐車は遠慮してさらに奥へ。結局、ゲート前の小さなスペースに2台突っ込みました。このスペースにも端に樹が積んであり2台が限界でした。

林道を少し戻ることわずか5分で橋の脇より入渓。この谷はアプローチ、デプローチともに楽々です。

しばらく小滝のシャワークライミングを楽しんでいると、岩壁が見え15m滝にご対面。左岸のリッジを登っている記録がありそれをたどるつもりでロープを出したところ、横から見るとかなり傾斜があるように見え、これは怖いとそのまま右上して導水管の脇より林道に出て巻いてしまいました。

早速宿題ができたことに若干凹みつつ、すぐに沢に戻る踏み跡があり再入渓。

遡行図の岩間6m? 確か右の水流沿いをショルダーで越えた気がします。

さらに遡行を続け、5m滝からいよいよ第1ゴルジュに突入。この写真では手前の5mの上に支谷の40mが重なってかなりの大滝に見えていますね。

5mはメンバーがフリーで登り、上からロープを投げてもらって登りました。

お次の7mは手が出ず、ロープを出して右巻き。このときはカムで支点をとりましたが、バックアップ含めどこまで強固な支点をつくるか、ボディビレイで済ませてしまうか、判断に迷うことが多くもっとスピードアップの余地があると感じました。

遡行図の2条4mはいまいちどれかわからず。この写真の手前にも似たような滝があり、もしかするとそっち? これはもしかすると「くの字形13m 上部ナメ」というやつかもしれません。写真中央やや左の細い水流沿いにクラックがあり、そこを登りましたがヌメヌメでこの日一番悪かった…。上部は本当につるつるで、ニューフレックスカムの1番とボールナッツの中サイズを掛け替えながらA0してなんとか抜け、その上のナメも滑りまくり、体全体で岩に抱き着きフリクションでなんとか止めるという感じ…。最後は小滝の横を容易なミニボルダリングで登り、立木でビレイ。

ヌメヌメクラックを仲間が登っている様子。

これを抜けると見栄えのする滝に出会い、滝前でランチ。この滝は右壁を登って上部で水流を横断し、左上に抜けて立木でビレイ。

右壁は見た目より容易で楽しい登りでした。

水流を横断しているところ。ユニークな構成で面白かったです。

ランチ中は右から巻けるかなという話もしていたのですが、登ってみると左岸は岩壁が続いており、安易に巻きを選択した方が大変な目にあっていたかもしれません。直登して正解でした。

その後もボルダー的な小滝が続きます。

この巨岩はすごかった!

第1ゴルジュを抜け、しばらくするとさらにスケールの大きい岩壁が見えてきました。第2ゴルジュの始まりです。

第2ゴルジュ入口の70m嵓。

ナメ滝45mは思っていたよりナメという感じではなく、普通に滝のような…。ここは左の水流脇を登りましたがやはりヌメヌメ。

お次は斜滝8m。左右どちらからでも登れます。

さらに斜滝9m。これは左岸のクラック沿い一択かなという感じでしたがやはり滑りまくり、緊張。。。

大きな釜を持つ8m。既に日が傾いてきて肌寒い中、悲鳴を上げながら水に飛び込み、水流すぐ左側を直登。意外に簡単でした。ちなみに右奥に映っているのは支谷出合7mで、本流は左に折れています。

最後は斜滝4m×8mを容易に登って第2ゴルジュ終了。

本来であれば第3ゴルジュもありますが、時間的にいい頃合いということもあり、朝から動き続けてもうお腹いっぱいという雰囲気もあり、ここからエスケープすることにしました。すぐ頭上に林道らしきものが見えており、案の定5分もかからないうちに林道に飛び出しました。なんというお手軽沢…! そこから林道を歩くこと45分、ゲート前に帰着し、終了となりました。

 

小谷川は短いアプローチの割に内容が詰まった谷で、山岳会などの練習山行に使われるのも納得のいい谷でした。

遡行図に載っている滝はもちろん、触れられていないような小滝もショルダーを使ったりお助けスリングを出したり、全体的にウォーターボルダリングといった感じで登りごたえがありました。ロープを頻繁に使い、今回はメンバーが3人ということで2~3番目が通るときにはフィックスするかビレイするかという判断に悩む場面もあり、心身ともによいトレーニングができました。

最初の15mと第3ゴルジュは宿題になってしまいましたし、また機会を見つけて訪れたいと思います。


装備面では今回はラバーではなくフェルトを使いましたが、ラバーよりフリクションがしっかり効く感覚があり、滝の登攀でもスタンスにある程度は乗れている感じがあったので、自分にはフェルトが向いているのかなと感じました。ラバーもアディダスのハイドロレースしか使ったことがないので、予算が許せば他のものも試してみたいところです。

時間記録

7:40ゲート前発~7:45入渓~8:00 15m滝前~8:50再入渓~9:15橋下~10:25第1ゴルジュ入口5m滝前~14:00第2ゴルジュ入口70m嵓下~15:30第2ゴルジュ終了~15:35林道~16:20ゲート前帰着

 

参考:『増補改訂 関西起点沢登りルート100』