奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

大峰・行者還岳 南尾根直登

5/24(火)、行者還岳の南面に入りました。行者還岳はその南壁の険しさに役行者も一度は引き返したことが山名の由来と言われており、確かに南側は断崖絶壁となっています。登山道は東側から巻いており、壁の方はどうなっているのだろうと前からいつかは行きたいと思っていたところでした。

小坪谷より入山し、天川辻経由で行者還避難小屋へ。背後にそびえているのが行者還岳。

南壁のアップ。今回は中央に写っている岩壁の右側の急な尾根を登ることとなりました。

避難小屋裏手より尾根をそのまま詰めアプローチ。手前に小さな岩コブが2つほどあり、左側から巻きましたが急で、これは右から行った方がよかったです。やがて壁に突き当たりました。左側から巻いて偵察したところ、第1岩峰、第2岩峰、第3岩峰まであり、1・2、2・3のコルは容易に上がれそう。第3岩峰から先は巻けずにそのまま山頂まで繋がっているようでした。

せっかくなので第1岩峰まで戻り、装備を整えていざ出発。

3メートル程のフェースから始まりますが、装備が重くて登れず、右の凹角から上がりました。

あとは単なる木登りで、すぐに第2岩峰の直下に到着。ここは登ったら面白そうでしたが反対側の様子がよくわからず、下れないと困るということでコルより一旦下降します。クライムダウンで容易に下り、先ほど偵察した箇所から2・3のコルへ。コルへの登りもロープは不要でした。

反対側から見てみると第2岩峰の下りはかなり短く、これなら心配いらなかったなという程度。第2岩峰のてっぺんに登ると弥山方面の大展望が広がりました。

第3岩峰は最初ロープを出して木登り。20メートルほど行ったところでその先は単なる急坂が続く様子だったので、ピッチを切りコンテニュアスに移行。

写真だと険しい感じですが土の部分が多く木の根を掴みながらどんどん登っていけます。

左側は岩壁が展開している様子。避難小屋から正面に見えた岩壁はこちらですね。

そのまま岩と土とのコンタクトラインを登りつめていくとシャクナゲが出てくるようになり、山頂が近いことを予感させました。

意外とあっけなく行者還岳山頂に到着。第1岩峰を登り始めてから約1時間でした。

 

結果的には期待していたような岩稜はなく単なる急な薮尾根といった感じでしたが、ずっと気になっていた場所の謎を解明することができ、これはこれで面白い山登りができました。
第3岩峰の基部またはその先からトラバースして左側の岩壁帯に入れば本格的な登攀ができたと思いますが、あまりクラックなどない岩質で支点がとれず怖そうでしたし、傾斜もありそうで自分の力量的には無理があったかなぁと……。

心残りは第1岩峰正面のフェースが越えられなかったことです。ムーブ的には5.9程度ですが足元がアプローチシューズであったこと、支点がとれず足場も傾いており落ちる恐怖が強かったこと、午後から雷雨の可能性ありという予報で先がわからない最初の段階で時間をかけたくなかったこと、という理由から右の凹角に逃げました。

ライミングシューズ自体は持って行ってはいたので、一旦靴を履き替えてボルダリングとして登った後ギアとザックを荷上げするといった方法を取れば登れないことはなかったのかもしれません。満載のギアとザックの負荷は予想以上でしたが、これくらいはさくっと登りたかったという気持ちもありますし、もっと登攀力を向上させる必要があると痛感しました。

対策としては登れる最高グレードを上げて荷物を持っていたとしても余裕をもって登れるようになること、5.9程度のルートを今回と同じ装備で登って全身の筋力を鍛えること、という2点でしょうか。

若干の心残りはあったものの、全体的には夢が叶ったいい1日でした~。