奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

大台ヶ原の入門マルチ 蒸篭嵓・ブッシュマン登攀

11/2(火)、大台ヶ原の入門マルチ、蒸篭嵓(せいろぐら)の「ブッシュマン」(全6P、140m)を登ってきました。

開拓者による紹介ページはこちら↓

http://yuuhi.boo.jp/seirogura.html

5P目の核心は5.10cとグレーディングされていますが、同時に「長身5.10a、A0 5.9」ともあります。最高グレード5.10aの自分でも最悪A0すればなんとかなるかと思い、大台ヶ原のマルチピッチクライミング入門としてチャレンジしてみることにしました。

結果的には身長低めの自分でもフォローとはいえノーテンで抜けることができ、次回はリードできるのでは?と思えましたので、紹介ページにある「とにかく優しく短いルートですのでゲレンデの5・9が登れる方は是非トライしてください」という言葉はそのまま受け取っていいようです。

むしろ今回は前日の雨の影響でアプローチが非常に滑りやすく、壁も下部は沢登りの様相で5P目核心よりそちらの方がよほど怖かったというのが正直なところでした…。

以下、簡単に報告します。

アプローチ:取り付きまで中崩谷を下る。滑りやすく急峻で、意外と悪かった…。30分ほど下って右手に残置ロープを見つけると取り付き。ちなみにその手前に手掘りのトンネル跡あり。林業の名残だそう。昔の人はすごい。

1P目:パートナーリード。濡れていることが多いらしい。今回もヌメヌメ。ボルトがよくわからない形状なのでテンションをかけたくなく、冷や汗をかきながら登る。出だしは容易だが最後だけ5.9相当で少し難しい。

2P目:自分のリード。一段上がるとブッシュの中に踏み跡に入り、T字路のような形で踏み跡が左右にわかれている。正解は左で、少し進んで直上する。そのまま行き過ぎるとより難易度の高いブッシュマン2に入ってしまうようなので要注意。灌木に支点をとったのはいいが、ロープの流れが悪くなってしまいビレイに苦しむ。上部は岩が乾いていて快適だった。

3P目:パートナーリード。後半のチムニーっぽいところが悪い。ボルト位置が遠くリードだと怖そう。

4P目:自分のリード。あまり記憶にないが、快適に登れたような。だんだんと大蛇嵓と同高度まで上がってきて、大蛇嵓の上に登山者がいるのが見える。

5P目:パートナーリード。いよいよ核心部。パートナーは余裕をもって越えていく。自分は果たして抜けられるのか?と緊張していたが、小ハングの奥にホールドをさがしあてうまく越えられた。ただしそこからもスラブが続き、全体的に気を抜けない。

6P目:自分のリード。5P目終了点からすぐ上のボルトまで右からいくか左からいくか迷い、左からいったがこれが悪手で盛大に腕力を消耗してしまった。おそらく右が正解? あとはすぐに森に入り終了。

またしっかり岩が乾いているときに再訪し、次は今回フォローにまわったピッチのリードに挑戦してみたいものです。

なお、今回のルートは登山道外となるため「岩登りに罰則規定がないとはいえ~」と紹介ページにあるように他の登山者や植生への配慮に留意が必要です。

 

大台ヶ原ドライブウェイより、前夜の雨の影響で見事な雲海が見られました

蒸篭嵓を望む

アプローチ途中のトンネル跡

取り付き

フォローするワタシ

終了点は全部この形状でした

3P目。画になる

振り返ると大蛇嵓

大蛇嵓のアップ。登山者が見える

5P目核心のハング

パートナーと。ありがとうございました!

 

時間記録

9:00過ぎ 駐車場発~(中道)~10:05 大蛇嵓~10:25 大蛇嵓分岐付近より下降開始~11:00 取り付き~14:50 登攀終了~15:15 大蛇嵓分岐(一般道合流)~15:55 駐車場帰着(中道経由)

WFAベーシックコース(ウィルダネス・ファーストエイド)を受講しました

10/4-5
一般社団法人 ウィルダネス メディカル アソシエイツ ジャパンWFAベーシックコースを受講しました。


消防や日赤の救急法が「都市型救急法」と呼ばれるのに対して、医療機関へのアプローチが遠い野外や災害状況下における救急法を「ウィルダネス・ファーストエイド」「野外・災害救急法」と呼び、北米のアウトドアガイドはこれを学ぶことが一般的だそうです。


前職の旅行会社に就職する前、ちょうどウィルダネス・ファーストエイドの講習会が日本で始まったばかりの約10年前に一度受講したことがあったのですが、そのときはアウトドア経験も浅く膨大な情報量に圧倒された記憶があります。


今回は所属している奈良山岳自然ガイド協会による招致開催ということで、ガイド仲間とともに2日間演習を繰り返すことができました。自分自身のアウトドア経験も10年前に比べると増え、よりリアルにいろいろな状況を考えることができた気がします。


とはいえ北米においてはさらに上位のコースを修了することがスタンダードだそうで、これに満足することなく、さらに学ばねば、とも思いました。


講師のまゆぴー、ガメラさん、ありがとうございました!

 

滋賀県・北小松の岩場へ 外岩5.10aOS!

10/20(木) 滋賀県の「北小松の岩場」へ行ってきました。最近その存在を知り、気になっていたところです。5.9前後が多く支点も整備されていて、4つある岩峰のうちバードロック以外は岩頭へ歩いてまわることができ、敗退しやすくトップロープが張りやすいという初級者にはぴったりな岩場でした。日当たりがよくこの日は暑いくらいで、岩頭からは美しい琵琶湖が見えるという素晴らしいロケーションです。

最近YouTubeで100RP理論というものを提唱している動画を見て、リードでRPグレードを上げるにはリードをやりこんで環境(高度感やクリップの感覚)になれるべきでは、と考え、今回はリードで本数を稼ぐことをメインテーマとして取り組みました。

5.9以下はすべてOS、5.10aを1本OS、5.10bの完登など成果があり、今年に入ってから熱心にジムトレをしている成果が出ていると感じました。

5.9については以前から登れるグレードではありましたが、より自信をもって動けていると思います。5.10aの核心部では何回か「テンション!」の声をあげてしまいそうになりましたが、「ここがジムでこの下にマットがあれば登れるはず!」と思い込むことで切り抜けることができました。OSグレードは数年前にラインがよくわからない5.10aを一応OS?といういまいち自信が持てない状態だったので、これなら5.10aOSと胸を張って言えるかなと嬉しい1本でした。

ただ、5.10bが思いの外登りやすく、最初からTRではなくまずはリードトライしてみればよかったということだけが心残りです。今後は取り付く前に慎重に検討したいと思います。

これでOS、RPグレードともに5.10aとなりました。そろそろ5.10bに挑戦していくべく、外岩の機会をつくっていきたいものです。

 

登ったルート

<キャッスルウォール>

本チャン気分5.6 mOS

休日はクライミング5.9 FL

休日は北小松 5.10b TR

<バードロック>

エメラルド 5.10a mOS

空高く 5.9 FL

クリスタル 5.9 mOS

 

エメラルド 5.10a mOS

参考

トポはこちらを参考にしました

yamap.com

100RP理論はこちら

youtu.be

みずはボルダー公開セッションに行ってきました

10/16(日)

この週末も数日前の雨天予報で仕事がなくなり…でも結局晴れたので、奈良県天川村で開催されたみずはボルダー公開イベントに行ってきました。

正式なトポは作成中で今後発売を検討されているとのことでしたが、岩数が多く3~5級くらいのルートが豊富で、自分のような初級者にはちょうどよかったです。
アプローチや下地も整備されており快適でした。想像以上に規模の大きなイベントで、手弁当で運営されているスタッフの方々には頭があがりませんね。

ぼっち参加だったので一抹の不安がありましたが、皆さんよい方ばかりで楽しくセッションさせていただきました。
ミタライクライミングネットワークの皆さま、ご一緒させていただいた皆さま、ありがとうございました。

(その他、最新情報は↓)

tenkawa-climbing.info

 

登った課題メモ

角岩
 ニゴイ6級 OS
 四角5級 OS
初心者岩
 クロックス左8級 OS
 クロックス右5級 RP
木陰岩(上流側)
 フラット5級 RP
要塞岩(道路側)
 草むしり5級 RP
圧岩(水流側)
 水圧5級 RP
ゴンパチ岩
 ゴンパチ4級×
白玉岩(上流側)
 白玉5級×
白玉岩(道路側)
 蜜豆6級 OS
のりこ岩
 のりこ5級 RP

→合計:8級1本、6級2本、5級6本 完登

 
 
 
 
 
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椿岩撤退→鬼ヶ牙でプチアルパイン(東峰南尾根第3尾根)

10/1(土) 鈴鹿山脈の前衛、鬼ヶ牙の岩場へ


本当は椿岩でのんびりフリークライミングのつもりだったのですが、立派なスズメバチの巣に怖気をなし1本登って即撤退。
このまま帰るのはさすがに…ということで急遽転進。こちらはこちらで前から行ってみたかったので、結果オーライ?
下部ではひさしぶりにスラブの恐怖感を味わい、上部ではブッシュにまみれるジャパニーズアルパインライミングを楽しみました。

 

最初はGPSの起動忘れで若干飛んでいます。反時計周りに行動。路肩は駐車禁止となっており、画面外の上流の方(左側)まで進んで駐車しました。

ちなみに椿岩はこんな感じ。この日いた先行パーティは後日記録を発見したところ結局終日登っていたようですが、そのメンタルの強さは私たちにはなかったですね…。1本登っているときも偵察のハチがブンブンしており結構ストレスでした。

話は戻って鬼ヶ牙へ。アプローチ中に見えた小ピーク。ちゃんと位置関係確認してませんが、途中で越えたピークかも。このあたりどこも岩がちで探検のし甲斐がありそうです。

下部スラブは右側と左側があり右の方が一般的なようですが、右の出だしは傾斜がかなり緩く見えたので、登りごたえのありそうな左へ。リードを申し出たものの意外と壁が立っていて恐怖でした…。支点はしっかりしたものが何か所かあったので、トップロープも可能です。

途中で見つけたユニークな地層。

短く切って3ピッチほどスラブを登るとヤブの多い岩尾根に突入。途中に落石防止の金網があったり、ある意味個性的なルートです。今回は3人でしたがもともとフリークライミングに行くつもりでシングルロープを持ってきており、システム的にスタカットだと時間がかかるため、途中からタイトロープを一部使用しました。

ハイライトはこの小岩峰。支点は腐ったハーケンが2ヶ所あり。手前の松の木で確保。

全体的に明るくロケーションはよかったです。

ロープをしまってから立派な岩峰が出てきてビビりましたが、中腹にフィックスロープがあり容易にトラバースできました。尾根通しに行く人もいるようです。右奥に隣の尾根(第2尾根)が見えていて、あちらも気になりました。

登ってきた尾根を振り返る。

山頂標識は地形図の488mピークの手前のピークにありました。

下山は沢沿いの一般道をたどりましたが、分岐の標識に危険ルートと書いてあった通りなかなか強傾斜でワイルドな道でした。

 

リンク

yamap.com

案内していただいた先輩の記録(ありがとうございました!)

www.alpkk.com

尾根の名前はこちらのレポートに倣いました

www.youtube.com

同レポートの動画版。第2尾根の側壁にルートを拓いたとのことなので行ってみたいですね。

富士山バリエーション 主杖流し~剣ヶ峰&完全版お鉢巡り

9/16(金) ひさびさの富士山へ行ってきました。

かつては毎年登っている時期もありましたが、ここ数年はとんとご無沙汰。高所の感覚を思い出すためにも行ってきました。

前夜、富士宮口5合目で車中泊。夕方の雲海と日没後の星空が見事でした。結構電波がしっかり繋がり、だらだらスマホを見てしまい就寝が遅くなってしまいました。これが翌日の寝不足、ひいては頭痛を引き起こすことに繋がります…(反省!)

一般道の4ルートはすべて歩いたことがあるので、今回はバリルートの主杖流し(「しゅじょうながし」と読むらしい)から登ってみることに。単独で不安もあったので、強風時などコンディションの悪い時は6合目で分岐せずそのまま富士宮ルートを登るつもりでした。

睡眠不足のため二度寝してから富士宮口5合目より出発。天気は最高! この時点では風もほとんどなし。

美しい朝。

6合目へ登る途中、シカを見かけて驚き。さらにこの後、カモシカらしき動物まで見かけました。

主杖流しの取り付きは富士宮口6合目付近より、御中道をたどりひたすら西にトラバースしてたどり着きます。

事前に6合目手前のブル道から御中道に入るとよいというブログを見ていましたが、地図を見るとブル道は左右に蛇行し歩く距離が長くなりそうなので、普通に登山道を登って6合目からトラバースすることに。

ということで、6合目の小屋をすぎて小広場の先のカーブからブル道に入りましたが、入り口に踏み跡が薄くわかりづらいのと、そのあと御中道に向けて下るところがある(つまり無駄に登っている)ので、やはり6号目手前のブル道より入った方がよかったと思いました。

御中道は岩にペイントがあったりしっかり踏み跡がついていたりで、わかりやすかったです。途中、2か所ほど大きな沢をわたるところがあります。

取り付き(ヤマレコでは標高2724m)で行動食を食いだめして出発。写真は少し登ったところで、主杖流しはこのような溶岩流の跡の滑り台的な岩場を登っていくルートです。

どんどん登って振り返ると結構高度感があります。

前日までいた南ア南部がずっと見えています。右から、塩見~荒川~赤石~聖~茶臼~光~深南部あたり?

さらに高度をあげると北部の方も見えてきました。こちらは甲斐駒~仙丈~白峰三山かな。

取り付きでクリームパンを食べた以降は固形物をとる気にならず、1時間に1度、KODAジェル1本を摂取して乗り切りました。少し登っては休むという感じで、だいたい1時間に標高差300m~360mを登るペースでした(足場が崩れやすいためあまりゆっくり登れない…)。

ずっと岩場かと思っていましたがザレ場もあり、できるだけ足場の崩れにくい岩をつなげて登っていきました。手を使うかどうかの割合は半々くらいですが、上部は傾斜が結構あり下りは怖いなと感じる場面もありました。敗退が難しいので取り付きで慎重に判断する必要がありますね。

瓦のような印象的な岩。いかにも溶岩の跡という雰囲気ですね。

謎のワイヤーが出てくるともう少しで頂上。左のスカイラインに先行パーティが映っています。先行のお二人は主杖流し手前、2867標高点がある尾根を登ってきたそうです。地形図では尾根に見えませんが、現地で見てみると他にも登れそうな尾根があり、いろいろたどってみるのも面白いかもしれません。

オフシーズンの平日とあって他の人は見かけず、人為的な落石にそれほど気を遣う必要がなかったのは助かりました。

登頂!

測候所の裏手に登りつめ、右手に少し下った壁際から一般道に抜けました。

休憩後、時計回りにお鉢巡りを開始。せっかくなので前からやってみたかった全ピーク登頂にチャレンジ。

  1. 剣ヶ峰 最高峰。主杖流しより登頂
  2. 雷岩 ピークではないですがせっかくなので。北側から空荷で。一部ボルダリング風。下り注意。
  3. 白山岳 尾根通し。山頂手前で巨大な岩峰を巻きます。逆からだと下れるか微妙。山頂手前に風穴があって面白い。
  4. 久須志岳 特記事項なし、容易
  5. 大日岳 特記事項なし、容易。山と高原地図では道表記ないですが尾根通しに下りられます
  6. 伊豆岳 東側が崖が続くためいったん山頂を通り過ぎ、引き返すような形で尾根に出る。下りは尾根通しにいけますが、小ギャップあり慎重にいくこと。下が一般道のため落石厳禁
  7. 成就岳 特記事項なし、容易
  8. 駒ヶ岳 特記事項なし、容易
  9. 三島岳 特記事項なし、容易

ということで全8ピーク+雷岩に登ることができました。念願かなって満足です。この完全版お鉢巡りに1時間40分をかけ、時間的にもいい頃合いになってきたので、さっさと下ることに。

白山岳手前の岩峰。右から巻きました。写真だとスケール感わかりづらいですがかなり大きいです。何本かクラックがありましたが、登っている人いるんでしょうか?

この岩峰をまくと山頂手前に風穴がありユニーク。くぐり抜けられました。

下山は富士宮口ルートの上部が落石工事中で重機が動いていたのもあり、御殿場ルートから宝永山経由で戻ることに。いわゆるプリンスルートですね。じぐざぐ道を無心で下り、砂走をざくざくと下って宝永山へ。宝永火口は何度見てもデカいな~!

火星を歩いているような風景が広がる宝永山、結構好きです。この頃には登りでずっと感じていた頭痛は解消され、食欲も戻って元気になりました。高度順応できた感覚があり足取りは軽く、6合目への登り返しで何人も抜かし、無事富士宮口5合目へ下山しました。

 

高所の経験なら大阪で低酸素室でもできるしわざわざ行かなくても…と考えた時もありましたが、やはり山に登ると多くのことを教えられますね。

特に印象的だったのが、上部の岩っぽいところで呼吸が苦しく、体を持ち上げきれない瞬間があったこと。通常、パッと見て感覚的に「ここは登れる」「ここは登れない」を判断する必要があるわけですが、その感覚が平地(低標高)とは違うなと。これは理屈ではなく感覚的なものなので、低酸素室を使ってマシンで走るような形ではなく、実際に高高度の山を登って身に付けるしかないように思いました。

主杖流しルートは意外と(気を遣うだけで楽しくない)ザレ場が多く、リピートはしばらくいいかなと思いますが、機会があれば他のバリエーションからも登ってみたいなと思います。

収穫の多い人生10回目の富士登山でした。

 

時間記録

5:45 富士宮口5合目出発~6:05 6合目~6:30 分岐~7:50 主杖流し取り付き 8:10~11:25 剣ヶ峰 11:40~13:40 御殿場ルート下山開始~14:50 宝永山山頂~15:35 富士宮口5合目帰着

 

参考記録

以下、参考にさせていただきました。

https://koujouchou2.naturum.ne.jp/e1244851.html

 

大峰 小谷川沢登り(第2ゴルジュまで)

8/31(水)、奈良県上北山村にある大峰東面の小谷川で沢登りしてきました。もともと大台ヶ原のシオカラ谷を予定していたのですが秋雨前線が来てしまい、不安定な天候の中大きな谷に入るのが怖く、コンパクトで林道が近く、逃げやすい小谷川に変更しました。

小谷川で検索してみると自分たちと同じように悪天時や増水時の代替案として訪れている方が多く、増水している写真はたくさん見かけたもののいまいち平水時の様子がよくわからなかったのですが、今回は比較的平水に近い様子のレポになると思います。

アプローチとなる林道は落石が多く、たびたび除去しながら通行しました。パンクが怖い場合は手前の幅が広い所や建物近くのスペースに停めて歩いた方がよさそうです。入渓点となる橋を過ぎたところに駐車スペースがありましたが、木材などが置いてあり作業の邪魔になりそうなので、駐車は遠慮してさらに奥へ。結局、ゲート前の小さなスペースに2台突っ込みました。このスペースにも端に樹が積んであり2台が限界でした。

林道を少し戻ることわずか5分で橋の脇より入渓。この谷はアプローチ、デプローチともに楽々です。

しばらく小滝のシャワークライミングを楽しんでいると、岩壁が見え15m滝にご対面。左岸のリッジを登っている記録がありそれをたどるつもりでロープを出したところ、横から見るとかなり傾斜があるように見え、これは怖いとそのまま右上して導水管の脇より林道に出て巻いてしまいました。

早速宿題ができたことに若干凹みつつ、すぐに沢に戻る踏み跡があり再入渓。

遡行図の岩間6m? 確か右の水流沿いをショルダーで越えた気がします。

さらに遡行を続け、5m滝からいよいよ第1ゴルジュに突入。この写真では手前の5mの上に支谷の40mが重なってかなりの大滝に見えていますね。

5mはメンバーがフリーで登り、上からロープを投げてもらって登りました。

お次の7mは手が出ず、ロープを出して右巻き。このときはカムで支点をとりましたが、バックアップ含めどこまで強固な支点をつくるか、ボディビレイで済ませてしまうか、判断に迷うことが多くもっとスピードアップの余地があると感じました。

遡行図の2条4mはいまいちどれかわからず。この写真の手前にも似たような滝があり、もしかするとそっち? これはもしかすると「くの字形13m 上部ナメ」というやつかもしれません。写真中央やや左の細い水流沿いにクラックがあり、そこを登りましたがヌメヌメでこの日一番悪かった…。上部は本当につるつるで、ニューフレックスカムの1番とボールナッツの中サイズを掛け替えながらA0してなんとか抜け、その上のナメも滑りまくり、体全体で岩に抱き着きフリクションでなんとか止めるという感じ…。最後は小滝の横を容易なミニボルダリングで登り、立木でビレイ。

ヌメヌメクラックを仲間が登っている様子。

これを抜けると見栄えのする滝に出会い、滝前でランチ。この滝は右壁を登って上部で水流を横断し、左上に抜けて立木でビレイ。

右壁は見た目より容易で楽しい登りでした。

水流を横断しているところ。ユニークな構成で面白かったです。

ランチ中は右から巻けるかなという話もしていたのですが、登ってみると左岸は岩壁が続いており、安易に巻きを選択した方が大変な目にあっていたかもしれません。直登して正解でした。

その後もボルダー的な小滝が続きます。

この巨岩はすごかった!

第1ゴルジュを抜け、しばらくするとさらにスケールの大きい岩壁が見えてきました。第2ゴルジュの始まりです。

第2ゴルジュ入口の70m嵓。

ナメ滝45mは思っていたよりナメという感じではなく、普通に滝のような…。ここは左の水流脇を登りましたがやはりヌメヌメ。

お次は斜滝8m。左右どちらからでも登れます。

さらに斜滝9m。これは左岸のクラック沿い一択かなという感じでしたがやはり滑りまくり、緊張。。。

大きな釜を持つ8m。既に日が傾いてきて肌寒い中、悲鳴を上げながら水に飛び込み、水流すぐ左側を直登。意外に簡単でした。ちなみに右奥に映っているのは支谷出合7mで、本流は左に折れています。

最後は斜滝4m×8mを容易に登って第2ゴルジュ終了。

本来であれば第3ゴルジュもありますが、時間的にいい頃合いということもあり、朝から動き続けてもうお腹いっぱいという雰囲気もあり、ここからエスケープすることにしました。すぐ頭上に林道らしきものが見えており、案の定5分もかからないうちに林道に飛び出しました。なんというお手軽沢…! そこから林道を歩くこと45分、ゲート前に帰着し、終了となりました。

 

小谷川は短いアプローチの割に内容が詰まった谷で、山岳会などの練習山行に使われるのも納得のいい谷でした。

遡行図に載っている滝はもちろん、触れられていないような小滝もショルダーを使ったりお助けスリングを出したり、全体的にウォーターボルダリングといった感じで登りごたえがありました。ロープを頻繁に使い、今回はメンバーが3人ということで2~3番目が通るときにはフィックスするかビレイするかという判断に悩む場面もあり、心身ともによいトレーニングができました。

最初の15mと第3ゴルジュは宿題になってしまいましたし、また機会を見つけて訪れたいと思います。


装備面では今回はラバーではなくフェルトを使いましたが、ラバーよりフリクションがしっかり効く感覚があり、滝の登攀でもスタンスにある程度は乗れている感じがあったので、自分にはフェルトが向いているのかなと感じました。ラバーもアディダスのハイドロレースしか使ったことがないので、予算が許せば他のものも試してみたいところです。

時間記録

7:40ゲート前発~7:45入渓~8:00 15m滝前~8:50再入渓~9:15橋下~10:25第1ゴルジュ入口5m滝前~14:00第2ゴルジュ入口70m嵓下~15:30第2ゴルジュ終了~15:35林道~16:20ゲート前帰着

 

参考:『増補改訂 関西起点沢登りルート100』