奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

金剛山・高天谷左俣 沢登り

もう遡行からだいぶ時間がたってしまいましたが、7/12(火)に金剛山の東面、高天谷に今年2回目の沢登りに行ってきました。

もともと去年行った丸滝谷がよかったので、その隣の沢をつないで石ブテ西谷溯行~石ブテ東谷下降を計画していたのですが、所要のためより短時間で済む高天谷に変更した次第です。

参考にした『近畿の山 日帰り沢登り』では本谷である右俣を遡行していますが、近年は右俣が崩壊により遡行に適さなくなったため、左俣を行く人が多いようです。二股に行くまでも側面が崩壊した影響で土砂に埋まっているところがあり、沢登りを楽しめる区間は丸滝谷に比べてかなり短かったなという印象です。短時間で行きたい人には向いていると思いますが、沢の内容では丸滝谷の方が充実していると感じました。

高天彦神社の駐車場をお借りしてスタート。お手洗いがあると地図には書いてあったのですが見つけられず…

参道が雰囲気ありました。

登山道をしばらくたどると高天滝に出会います。ガイドブックでは右壁直登と左右の巻き道の3コースが紹介されていますが、まだ始まったばかりなので無難に右側のハシゴから巻いて入渓。

お次の堰堤は左から踏み跡をたどって巻き。

さらにその次、10m滝。意外と大きな滝が連続するな~と思いつつ、右巻きかな?と思っていると、パートナーが登れそうとのことでロープを出して直登。倒木で支点をとり、上部が大変そうでしたが抜けていきました。フォローで登りましたがやはり上部が大変で、自分はリードできないかも…

滝を抜けるとやがて沢が土砂に埋もれ、ジャングルのような雰囲気に。左側の崩壊の影響で滝が埋まっているようです。しばらく蜘蛛の巣との格闘が続きました。

ようやく崩壊地を抜けると、小滝が連続します。

いい雰囲気。

全体的にコンパクトな谷で、すぐに倒木が埋め尽くす二股となりました。

左俣に入るとすぐに大滝の登場。これを巻いて逆に大変な目にあっている記録を見たので、登れるか心配していました。今年は全体的に大雨が少ない影響か、苔や藻が流されておらず、ここまでも結構ヌメヌメという印象だったのも不安でした。一見したところ予想より傾斜は緩く、ロープを出して左側を直登することに。自分がリードで抜けました。

その後も小滝がありましたがやがて水流が細くなり、左手に道らしきものが見え、登ってみると登山道に飛び出しました。高天彦神社から2時間半で遡行終了。

帰りは登山道をたどります。途中、崩壊地があります。中盤が土砂に埋もれていたのはこのためですね。

高天滝まで戻り、時間的に余裕があるので右壁を触ってみることに。まずパートナーがフリーソロ。自分も行けそうか? 微妙か? と思いつつ取り付いてみましたが、途中で行き詰ってしまい、上からロープを投げてもらって事なきを得ました。屋内ジムのグレードではこちらの方が登れるはずなのですが、濡れた岩場ではパートナーの方が圧倒的にうまく、天性のバランス感覚を感じます。自分にとってどうなのか、壁を見る目を養わなければと思った出来事でした。

 

時間記録

9:50高天彦神社~10:00高天滝~10:20 10m滝~11:35二股~12:20登山道出合~13:05高天滝~13:45高天彦神社

台高・神ノ谷川大栃谷から白髭岳

8/23(火) 台高山脈・神ノ谷川大栃谷~白髭岳~南尾根下降


川上村最高峰・白髭岳に突き上げる沢ということで前々から気になっていたのですが、沢の経験値が少なく思いきれませんでした。先月、鈴鹿の渋川でゴルジュや滝の登攀をしたことで多少自信が持て、そろそろ行けるかなと思い切って行ってきました。

まとまった情報がないことも難易度をはかりかねる理由のひとつだったのですが、2021年に発売された『増補改訂 関西起点沢登りルート100』には遡行図が掲載されていることを後から知りました。自分も下山後早速購入したのですがこちらのガイド本では遡行グレード2級上となっており、実はこのグレードの沢に行ったことはあまりなかったので(渋川は2級~3級らしいですが他は1級程度の沢だったり、2級でも途中までしか行ったことがなかったり)、どうりで苦労したわけだと納得でした。

 

アプローチは神ノ谷川沿いの林道を終点まで入り、4台程度は停められそうな広場で準備を終えて、踏み跡よりすぐに入渓。

早速淵がお出迎え。ここで写真をとっている最中に落石があってビビりました……

このあともうひとつ同じサイズ感でしっかり泳がされる淵があります。今回から導入したモンベルのフロートベストが早速役立ちました。

小滝が連続し、楽しくこなしていきます。

積極的に濡れた方が沢は面白いですね。水はそこまで冷たくなく、ネオプレンの上着は着用せず。

序盤は側壁の造形や苔むした雰囲気が見事でした。

トチの木が中段に生えている2段12mまで来ると沢はもう中盤。ここは左巻きも可ですがせっかくなのでロープを垂らしてもらって、中央やや右から直登しました。

お次は2段15m。これは一見して上部が困難そう。この先もゴルジュが続くため、この滝は眺めるだけにして、記録通り左の岩壁沿いにいったん下るように戻り、土の詰まったルンゼを直上して巻きに入ります。

ルンゼを登ると岩峰のある小尾根に出て、ここから下っていくか、ちょっと上がって水平に進むかで悩みました。

試しに下ってみますがこちらは実は外れ。

ゴルジュ内部のつるつるの滝が見えました。

巻きは行き詰ってしまったので、小尾根まで登り返し、さらに少し登って薮っぽいトラバースに入ります。1箇所足元が切れ落ちているところがあり、ロープを出してもらってクリア。その後は歩いて沢に戻れました。

戻ってすぐに標高880mの2俣に到着。本流は左で、出合に3m小滝があります。

これを登ると大栃谷名物「洞窟のようなゴルジュ」が見えてきました!

すごい地形です。

内部の様子。格好いい写真を撮ってもらいました。笑

とても登れないので、2俣まで引き返し、左岸から巻きます。

この後もいくつか滝がありますがやがて伏流となり、黙々と歩き。しばらくすると遠目にこの沢最大の25m滝が見えてきてテンションがあがります。流れが戻り、6m滝を登り、続く前衛5m滝が少し渋かったですがこれもなんとか登り、25m滝とご対面。

前衛5m滝含め右岸から巻ける様子でしたが、じっくり見ているともしかすると登れるのでは?ということで、25m滝の直登にチャレンジしてみることに。

最終的には↑の写真のラインで登りましたが、これが大変でした。

下部は傾斜が緩いもののヌメヌメ。中段でなんとかカムが突っ込めるところがあり、ピッチを切ります。

その後、小ハングを避けて左からまわりこもうとするも支点がとれず思いきれず。諦めて左の薮トラバースに逃げることを試みましたが、これも落ちそうで怖くて思いきれず。結局リードを変わってもらってパートナーが直上に成功しましたが、自分はフォロー中にトラバースから戻るところでフォール! 滝で本気で落ちたのは初めてで、なかなかの恐怖体験でした……。切り傷擦り傷が多少できたくらいで大事に至らず助かりました。

その後も傾斜の強いナメ滝が続きます。右の尾根が近づいてきたところでそちらに逃げ、白髭岳山頂やや東の稜線に抜けて遡行終了。

入山から6時間くらいで山頂かなと思っていましたが、結局7時間半かかりました。午後の雷雨がなかったのは幸いでした。余裕があればあまり記録のないナカエ谷を下ろうと思っていましたが、もうヘロヘロで最短距離の南尾根から下山することに。

登山道のある西尾根を少し進み、標識のあるコルからトラバースして南尾根に入ります。すぐにモノレールが出てきて、あとはこれに沿って下るだけ。

下部はかなりの傾斜です。最後は皆が悩まされている倒木地獄にしっかり捕まり、大汗をかかされました……。

 

夏の間はカヤックや洞窟のガイドに明け暮れており、1ヶ月ぶりの山登りがこの大栃谷でした。山歩きのリハビリには充分すぎるくらいの充実度で翌日は全身バキバキでした。かなり疲れましたが巻きのルートファインディングや25m滝の登攀など、これまで経験してきた沢登りとは違う一段上の経験ができたように思います。25m滝の最後で行き詰ってしまったことは要反省で、登れるかどうか確信のないまま取り付くと大変なことになると身をもって学びました。いろいろな局面で助けてもらったパートナーに感謝です。また個人的に思い入れある白髭岳に沢から登ることができ、思い出に残る1日となりました。

あとは装備に関して、今使っているラバーシューズ(アディダスのハイドロレース)のサイズ感が滝の細かいスタンスに乗るときには大きすぎる気がするので、もう少しタイトなシューズを探した方がいい気がしてきました。今後考えてみたいと思います。


時間記録

7:50入渓~11:10二俣~12:40 25m滝前~14:05 25m滝登攀終了~15:05稜線~15:15白髭岳山頂~17:15下山完了

 

以下、参考にさせていただきました。

www3.kcn.ne.jp

takuyu.seesaa.net

12年ぶりの鈴鹿・渋川で沢登り

7/5(火)、鈴鹿の渋川で沢登りシーズンインしました。当初は大台ヶ原・シオカラ谷を予定していたものの、増水が予想され大峰・白子谷に計画変更。しかしこれも紀伊半島の大雨予報のため、前夜になって急遽変更。天気予報とにらめっこして鈴鹿山脈西部であれば降水量が少ないのではと予想し、パートナーA氏が以前行ったことがあるという渋川に変更。狙い通り大雨に降られることなく、沢登りを楽しむことができました。

奇遇にもここは12年前、大学3年生の時に訪れた場所。あのときも雨予報で途中敗退でした。あの頃から自分は成長できているだろうか?と考えながら現地へ向かいました。

 

kpuac.blog95.fc2.com

↑12年前の記録

 

小雨の降る中、「愛郷の森」へ。入口で駐車料金1台500円を支払い、お手洗いを借りた後、施設内の林道最奥に車を移動して出発。最初は河原歩きが続きますが森や岩の雰囲気がよく楽しめました。ラバー靴が苔で滑りまくるのには困惑しましたが…

一つ目の堰堤は右から容易に巻けます。二つ目の堰堤は左から巻き、まだ新しいトラロープを頼りに沢へ戻りました。この巻きの際にヒルを目撃。以降は見かけずでした。

F1が出てきたところでウェットスーツを着込み、ギアを身に着けて本格的な遡行開始。

F1は右壁は厳しく、水流も激しいのでセオリー通り左から。最後がやや悪かったような。

プールのような大きな釜をもつF2。学生のときは装備もなく釜がとてつもなく巨大で怖く見えたのですが、記憶より小さく見えて驚きました。水流が強く滝には近づけず、左壁から越えましたが最後が悪かった…。できるだけ残置ロープを使わずにということでハーケンを1本決めて足場とし、一段上がってブチブチ抜ける草をホールドに這い上がりました。

この滝の落ち口はボルトがたくさんありワイヤーもあって、キャニオニングツアーでも開催されているのかな?といった雰囲気。昼食をとって次へ。

F3。滝裏をくぐって抜ける。実はもっと右(写真外)からほぼ濡れずに巻けますが。笑

右手前の岩の裏側がトンネルのようになっていてユニークでした。

↑トンネルから見た景色

F4。右からチョックストーンの下まで近づき、ボルダームーブで越えようとするも敗退。たしか左から巻きました。

途中で遊ぶ人。笑

F5。水中に棚があってほぼ足がつきます。右壁を登って越えました。

二股に出会うと距離的にはもう終盤。支流出合の滝(ロープスケールで2段30m)は多くのパーティがスルーしているようですが、見上げてみると登れそうなので登ってみることに。もし本流に戻れなくても支流をそのまま遡れば林道に出られるし、支流と本流の間の尾根をたどるのも選択肢として考えていました。

下段15mは巻けますがあえて水流沿いをフリーで。めちゃくちゃヌメって怖かった…

テラスより登攀開始。右上して流れをわたり、洞窟っぽくなっているところのチョックストーンにスリングをかけてA0。その上でもカムでA0してしまいましたが、技量ある人ならフリーで登れると思います。支点はカム、チョックストーン、細い灌木を利用。本格的な滝の登攀は実はこれが初めてで、思い出に残る滝となりました。

その上にも小滝が2つあり、それらを越えた後、出合滝の頭まで斜面を巻いて戻り、落ち口からは灌木を支点に懸垂して帰着。30mロープ折り返しでギリギリちょうどでした。

F6。支流の滝に時間をかけてしまったので、そろそろ急ぎ足で…と思っていたもののこれが悪く時間をくうことに。

いろいろ試行錯誤したものの左巻きが案外悪く断念。右壁をショルダーで自分が上がることにまず成功。次にロープFIXで後続が上がろうとするもののロープの伸びでやりづらく断念。結局水流沿いをビレイしながらお助けスリング頼りに突破してもらい、全員上がることができました。

↑水流をくぐり、お助けスリングを頼りに登る

最後の滝、F7。そろそろ下山遅れになるのでさっさと通過。これはたしか左巻き

F7を越えるとすぐに橋が出てきて遡行終了。帰りは林道下山というお手軽さが有難かったです。

「愛郷の森」のお隣、池田牧場でジェラートをいただき、お土産を買って帰りました。

 

よかった点

  • 予報が悪い時点でインドアジムの案も出たが沢を諦めなくてよかった。大きな経験を積むことができた→山域の違う候補を複数もっておくと悪天時に右往左往しなくてすむ
  • 学生時代と同じ場所に行くことで成長を感じられた→後半に時間がかかったので学生時の敗退判断は正しかったと思う
  • 出合滝の登攀で思い切ってリードに手を挙げたことでより充実の山登りとなった。滝の登攀経験を積むことができた→滝の登攀はギアをたくさん使うので登攀前提の計画であればギアを増やした方がいい
  • 全体的に滝の登攀で安定感があった。ジムトレの効果が出ていると感じた

反省点

  • 時間の見積もりが甘く下山遅れになりかけた→自分は沢ではあえて遊んで時間がかかる傾向にあるのでそれを見込んでスケジュールをたてること
  • 支流出合滝の登攀中にカラビナが足りなくなり、マイクロトラクションにつけていたカラビナを利用するためにマイクロトラクションを外してカッパのポケットに入れたがこれが大失敗。実はポケットに穴があいておりマイクロトラクションを紛失する羽目に→カラビナは余裕をもって用意すること、ギアを適当にしまわないこと、ポケットを過信しないこと

時間記録

9:10 入渓~10:00 F1~13:20-14:55 出合滝登攀~16:25橋(遡行終了)~17:05 駐車地帰着

 

まとめ

渋川は登りごたえある滝がコンパクトにまとまっていてトレーニングによい沢でした。ゴルジュ突破は緊張感がありますがそれを越えたときの達成感はクセになるものがありますね。出合滝の登攀はなかなか怖いものがありましたが、慣れの部分もあると思うので今後経験を積んでいきたいです。

 

計画の参考にさせていただきました↓

sawagurui.com

4年ぶりの六甲・堡塁岩クライミング

6/1(水)、約4年ぶりに六甲・堡塁岩にクライミングに行ってきました。月末に山岳会のイベントで訪れる予定があり、その下見と称して登ってきました。さすがに4年ぶりとなると記憶がかなり薄れていて概念のよい確認になりました。最近はジムで精力的に登っているので外岩でもそれなりに通用するかと思えば、期待ほどではなく…。もっと岩に触れないといけないと思わされました。

 

前夜のうちに奈良から移動し、岩場近くの無料駐車場で車中泊。さすがに山の上とあって肌寒い朝でした。

朝7時にパートナーと待ち合わせ、踏み跡をたどって入山。

以下、踏み跡の順番メモ。車道から近い順に…

  • 1番目→東稜の頭に繋がる道
  • 2番目→東稜と中央稜のコルに出る道(歩いて下れる。中央稜の中段テラスにも行ける)
  • 3番目→中央稜の頭に出る道
  • 4番目→中央稜と西稜のコルに出る道(最後懸垂。帰り道岩や中央稜の中段テラスにも行ける。)
  • 5番目→同上。たぶん西稜の頭にも繋がっている(未確認)

結論としては2番目の踏み跡をたどって中央稜東面の広場に歩いて下り、そこから各岩場へ移動するのが一番効率がよさそうでした。

今回は西稜や中央稜西面をまずは触りたかったので、4番目の踏み跡を選択。最後は濡れていてクライムダウンが怖く、懸垂しました。

※結局懸垂で時間かかってしまうので、西稜に行きたい場合でも中央稜東面の広場経由の方がよかったと思いました

アップとして西稜を登る。ルートがよくわからなかったが、たぶんノーマルルートIV+(右側のロープがかかっているクラック沿い)をリード。カムが役立ちました。

ロープが50mで足りるか微妙だったため、一番てっぺんまでは行かずその手前のテラスまで。ここに限らず堡塁岩は60mロープの方が安心感あるなと思いました。

パートナーがTR後、自分はザックを背負って左ルートをTR。最後にパートナーが登り、木で懸垂下降しロープ回収。

お次は中央稜西面へ。当初、コズミックライン5.10aを狙って登りだしましたが、中間部がとても登れるように思えず、左隣のハチの巣コーナー5.10aに逃げる。しかし上部の核心のクラックが大変で、テンションをかけながらカムをかけ替えて少しずつ高度を上げるという冷や汗ものの登り…。あまり自分のセットしたカムに本気でテンションをかけたことがなかったので、焦りました(一度本気で落ちてしまったものの、ちゃんと止まったのでよかった)。フリーのルートで登り切れないと大変なことになるなと痛感。あとはカムで使用頻度の高い番手は2セット目を用意しておかないといけませんね。

なんとか登りきり、終了点はボルトのみだったため、一段上がって左にトラバースした残置カラビナより懸垂下降(最初は一段上がった松の木から懸垂しようとしたが50mロープでは下に届かなかった…)。

気づけばハチの巣コーナーに1時間も張り付いていました。

 

ランチ後、踏み跡で横移動して中央稜南面下部へ。

中央クラックルートV+をリード。上部の核心でテンション入ってしまいましたが…。ここは記憶が残っているうちにRPトライしたいものですが、どうかなー。

終了点はリングつきでした。

しかしクラックルートといってもクラックはかなり浅く、残置ハーケンがなければとてもリードできる気はしませんでした…。こんなところを残置なしで登れるようになる日が来るのだろうか。

今回は時間的に登れませんでしたが、中央稜東面。次はここも触りたい。

最後に東稜をマルチピッチで登ることにしました。

中央稜の頭より望む東稜上部

1P目は樹林帯から取り付き森がきれるまでパートナーがリード。15mほど。III級程度ですが支点はリングボルト1本だけ。

2P目は自分リード。岩稜のリッジをそのまま行くラインが面白そうでしたが、荷物が重かったので左の凹角に逃げてその上は素直に直上。ここも容易ですがピン少なし。ロープが重くなってきたため、最後の頭のコブだけ残して岩角でピッチを切る。

3P目はパートナーが最後のコブ3m程度を登り切って終わり。トップにリングボルトあり。

今回は短めにピッチを切りましたが普通は2Pでいけると思います。

東稜から中央稜を望む。

東稜の頭にて。

4年前に来たときは気になりつつも登る機会がなかったので、今回登れてよかったです。脆いと聞いた気がしましたがそんな感じは受けませんでした。


まとめ。期待していたほど自分が登れずちょっとガックリきた部分もありましたが、4年前は登れる仲間頼りな部分があったものの、今回は自分主導で計画しIV+までは落ちずに登れたので、多少は成長しているなとも感じました。

今回はハチの巣コーナーでかなり時間を消費してしまったので、本数的にはやや物足りない感じもあり。奈良からは遠いですがまた機会をつくって登りにいきたいものです。中央稜南面、東面のIV~V級くらいをガンガン登りたいですね。

大峰・行者還岳 南尾根直登

5/24(火)、行者還岳の南面に入りました。行者還岳はその南壁の険しさに役行者も一度は引き返したことが山名の由来と言われており、確かに南側は断崖絶壁となっています。登山道は東側から巻いており、壁の方はどうなっているのだろうと前からいつかは行きたいと思っていたところでした。

小坪谷より入山し、天川辻経由で行者還避難小屋へ。背後にそびえているのが行者還岳。

南壁のアップ。今回は中央に写っている岩壁の右側の急な尾根を登ることとなりました。

避難小屋裏手より尾根をそのまま詰めアプローチ。手前に小さな岩コブが2つほどあり、左側から巻きましたが急で、これは右から行った方がよかったです。やがて壁に突き当たりました。左側から巻いて偵察したところ、第1岩峰、第2岩峰、第3岩峰まであり、1・2、2・3のコルは容易に上がれそう。第3岩峰から先は巻けずにそのまま山頂まで繋がっているようでした。

せっかくなので第1岩峰まで戻り、装備を整えていざ出発。

3メートル程のフェースから始まりますが、装備が重くて登れず、右の凹角から上がりました。

あとは単なる木登りで、すぐに第2岩峰の直下に到着。ここは登ったら面白そうでしたが反対側の様子がよくわからず、下れないと困るということでコルより一旦下降します。クライムダウンで容易に下り、先ほど偵察した箇所から2・3のコルへ。コルへの登りもロープは不要でした。

反対側から見てみると第2岩峰の下りはかなり短く、これなら心配いらなかったなという程度。第2岩峰のてっぺんに登ると弥山方面の大展望が広がりました。

第3岩峰は最初ロープを出して木登り。20メートルほど行ったところでその先は単なる急坂が続く様子だったので、ピッチを切りコンテニュアスに移行。

写真だと険しい感じですが土の部分が多く木の根を掴みながらどんどん登っていけます。

左側は岩壁が展開している様子。避難小屋から正面に見えた岩壁はこちらですね。

そのまま岩と土とのコンタクトラインを登りつめていくとシャクナゲが出てくるようになり、山頂が近いことを予感させました。

意外とあっけなく行者還岳山頂に到着。第1岩峰を登り始めてから約1時間でした。

 

結果的には期待していたような岩稜はなく単なる急な薮尾根といった感じでしたが、ずっと気になっていた場所の謎を解明することができ、これはこれで面白い山登りができました。
第3岩峰の基部またはその先からトラバースして左側の岩壁帯に入れば本格的な登攀ができたと思いますが、あまりクラックなどない岩質で支点がとれず怖そうでしたし、傾斜もありそうで自分の力量的には無理があったかなぁと……。

心残りは第1岩峰正面のフェースが越えられなかったことです。ムーブ的には5.9程度ですが足元がアプローチシューズであったこと、支点がとれず足場も傾いており落ちる恐怖が強かったこと、午後から雷雨の可能性ありという予報で先がわからない最初の段階で時間をかけたくなかったこと、という理由から右の凹角に逃げました。

ライミングシューズ自体は持って行ってはいたので、一旦靴を履き替えてボルダリングとして登った後ギアとザックを荷上げするといった方法を取れば登れないことはなかったのかもしれません。満載のギアとザックの負荷は予想以上でしたが、これくらいはさくっと登りたかったという気持ちもありますし、もっと登攀力を向上させる必要があると痛感しました。

対策としては登れる最高グレードを上げて荷物を持っていたとしても余裕をもって登れるようになること、5.9程度のルートを今回と同じ装備で登って全身の筋力を鍛えること、という2点でしょうか。

若干の心残りはあったものの、全体的には夢が叶ったいい1日でした~。

2021年の振り返りと2022年の展望

2021年はなんといっても娘の成長とともに歩んだ1年でした。本当に小さかった娘はぐんぐんと成長して、いまではしっかり歩くようになりました。言葉はまだ話せませんが、こちらの言うことは理解しているようです。食事も離乳食から幼児食に移行して、外出が楽になってきました。

コロナの影響もあり海外遠征はまったく考えず、2021年は育児と仕事で生活の基盤をつくっていく年にしようと思っていましたが、その通りになりました。

仕事の面では登山ガイド業が中心となりました。新企画も多くいままでで一番企画をたてた年でした。14時間歩いた雪の八経ヶ岳や分割で歩いていた大峯奥駈道縦走の完結、逆に一気に歩いたプライベートガイドでの大峯奥駈道7daysは思い出深いです。反面、9~11月は予定を詰めすぎ休む暇がほとんどなく、反省が残りました。

プライベートでは沢登りに比較的よく行きました。迷岳庵ノ谷、三峰山ワサビ谷など情報が少ない中で自分が主体となって行った沢はいい思い出となりました。

秋以降は仕事中心でしたが、12月に入ってからは岩に触れる機会が多く、クライミングの楽しさを思い出しました。時間をつくってトレーニングは続けていきたいところです。

2022年は仕事にかなり偏っていた時間のバランスをもう少し整えて、ほどよいペースを見つけていきたいものです。

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今年もよろしくお願いいたします!

 

昨年の振り返りはこちら

chkch.hatenablog.com

岳人12月号 掲載中!

現在、好評発売中の山岳雑誌「岳人」12月号にて記事が掲載されています!
今回は2記事。「私のヒヤリハット体験」コーナーにて、大峰での道迷い未遂を、「とっておきの山歩き」コーナーにて、伯母子岳&龍神岳をご紹介しています。
「岳人」12月号は全国の書店・モンベルストア・オンラインショップにてお買い求めください。娘も誌面に夢中のようです!

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