春爛漫の白髭岳北尾根(今西ルート)
5/11(火)、奈良県川上村最高峰の白髭岳(1,378m)に登ってきました。本来は公募プランでこの時期シャクナゲが美しい百合ヶ岳をご案内する予定だったのですが、落石により林道が通行止め。開催日までに解除される見込みがなく、対岸の白髭岳に転進しました。
こちらが百合ヶ岳から望む白髭岳。画面中央の鋭鋒です。一般的な登山ルートは北尾根と西尾根(東谷コース)の2本ありますが、どちらも見た目通りの急坂が続く、登りごたえある山です。
白髭岳は京都大学名誉教授で登山家でもある今西錦司氏が1985年に御年83歳で日本1500登山を達成した際、1500山目に選ばれた山でもあります。その際使われたのが今回たどった北尾根です。
ちなみに今西氏は日本人が初登頂した8,000m峰であるマナスル峰の踏査隊長を務められており、個人的に昨年この目でマナスルを見てから勝手に縁を感じています。笑
マナスル(8,163m)2020年3月撮影
今西氏が白髭岳に登った当時は林道が奥まで通行できたようですが、現在は麓の集落の水道施設より先は崩壊により徒歩でしか通行できません。
まずは小1時間ほど崩壊林道を歩きます。
林道からは中奥川鳥渡谷の切れ込みの向こうに白髭岳から池木屋山に接続する長大な尾根の側壁が見えています。秋だと眼下に大鯛滝が見えるのですが、今回は樹林のためよく見えませんでした。
林道終点から小沢を渡って尾根に取り付きます。はじめは非常に滑りやすいじぐざぐの急坂が続きます。今シーズン初のギンリョウソウに出会いました。
尾根に出ると、これまた急坂です。ゆっくりと高度を上げていきます。
林道終点から1時間ほどで北尾根の主稜線に出ました。とたんに爽やかな風に迎えられます。合流点の小ピークには高尾という地名がついています。ここから尾根の右側(西側)が自然林となり明るくなります。
ちょうどミツバツツジが終わりを迎えアケボノツツジが見ごろを迎えており、足元はピンクの絨毯、頭上は春爛漫といった雰囲気でした。
稜線上の小ピークは巻き道もあるのですが、お花が見たいがためにわざと稜線を歩いたりしました(笑)
シャクナゲもちらほらと咲いています。
浮かれたい気持ちは山々ですが、足元は滑落注意のナイフリッジが続き、気が抜けません。
1286mピーク手前のロープ場を抜けると山頂が垣間見えました。山肌に点々と鮮やかなツツジが輝いており、歓声が上がります。
ここから少し尾根が広がるものの、急坂は相変わらずで我慢の登りを経てようやく山頂に到着です。
山頂には今西氏登頂記念の立派な碑が建っています。
頂上からは大峰の大普賢岳、八経ヶ岳、台高の白屋岳、薊岳などが遠望できました。山頂のお花もちょうど見ごろを迎えており、お花見ランチを堪能して往路を慎重に下山しました。
これまで秋に登ることが多く、険しくどちらかというと寂しい印象の白髭岳にこのような華やかな一面があったとは意外でした。思わぬ収穫を得た一日となりました。