国指定名勝「三多気の桜」として知られる三重県津市美杉町三多気(みたけ)の桜並木を見に行ってきました。山でいうと大洞山の麓に位置し、この時期は桜とセットで大洞山の登山を楽しむことができます。歩道沿いに桜が続くため面というよりは線的な感じで、見渡す限りの桜!といった雰囲気ではありませんが、修験道に由来する歴史ある景観だと知るとより一層趣深く感じられました(詳しくは一番下にまとめています)。
樹種が多く高低差もあるため満開日が特定しづらいそうですが、今年は例年より早く多くの樹がほぼ満開を迎えているようです。山桜の中にはまだこれからといった樹もありましたので、もうしばらくは楽しめると思います。
第一駐車場に停車し、公衆トイレに立ち寄って出発。ここから真福院まで緩やかな登り坂で徒歩30分ほど。その間、桜並木が続きます。三多気の桜とは真福院への参道に植えられた桜というわけです。写真は駐車場すぐの様子。
例年であればお花見シーズンには桜まつりが開催されていますが今年はコロナの影響で中止ということで、出店は見られませんでした。
歩き始めてすぐ、夜桜広場の桜。
山桜の紅い葉が美しいです。
道の両側に桜
途中、存在感ある茅葺屋根の家が。国登録有形文化財「田中家住宅主屋」で、江戸後期に建てられたものだそうです。こちらの記事によると現役の民家として使われているそうで驚きました。
参道を進むと水田が見えてきました。写真を撮影されていた方に、ここが写真スポットだよと教えてもらいました。が、水田の向こうの桜は1本だけ早咲きのようで、なかなかタイミングをつかむのが難しそうです。個人的には背景の学能堂山のどっしりとした感じがいいですね。
足元にニリンソウを見つけました
水田から少し歩くと真福院に到着。寺院ですがまずは鳥居をくぐります。神仏習合の名残ですね。
真福院の石段横には樹齢1000年以上と言われる大ケヤキがあります。この隣の巨大杉の存在感もすごかった! 写真には到底納まりきらないスケール感です。
ちなみに真福院の鳥居から山門まで石段が108段あるそうですが、数えていませんでした。実際どうなんでしょうか。(こちらのレポのマップより)
ここでUターンして戻ろうとしたところ、裏側になにやら発見。これは住所? 山仕事の仮住まい? 修行の場所? いったい何だったんでしょうか。
駐車場に戻ると、駐車場の下にも桜並木が続き、昔の参道が残っていると係の方に教えてもらいました。さっそく歩いてみます。
たしかに車道の横に歩道があり、その両側に桜並木が続いていました。車に乗っていては気づかない景色ですね。
下りきったところから今後は車道をてくてく歩いて戻りました。
帰宅後調べてみましたが、真福院は正式には「御嶽山眞福院(みたけさんしんぷくいん)」といい、役行者が蔵王権現を祭って開いたのが由来だそうです。桜の由来は899年ごろに理源大師が真福院にとどまって桜を植えたのがはじまりとのこと。
その後、真福院に深く帰依した初代伊勢国司・北畠顕能(あきよし)により現在の三重県津市美杉町多気(たげ)の国司館(こくしのたち=国司の住まい・仕事場=かつての多気御所=現在の史跡北畠氏館跡)から飼坂峠(かいさかとうげ=伊勢本街道随一の難所)を越えて真福院の山門まで8キロメートル余りの沿道に桜が植えられたそうです。その一部が現在に至るまで残り、数百年も咲き続けているというわけですね。
山桜は修験道における御神木ですし、三多気の桜の根底には修験道が息づいているということがわかり、すべてが繋がった気がしたのでした。
ちなみに、大洞山の名前の由来は真福院を訪れる修験者が持つホラ貝に山の形が似ているから…だそうです。ここにも修験道が!
*主に以下のサイトを参考にさせていただきました
眞福院と三多気の桜
伊勢国と北畠氏
真福院の由来
開花情報