奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

無双洞から流れ出す冷水の水太谷遡行

アップの順番が前後しますが、8/26(木)に大峰は大普賢岳のお膝元、無双洞から流れ出す水太谷を遡行してきました。

登山道からいつも沢を見下ろし気になっていた沢でしたが、目立った滝はなく、沢登りというほどのものでもないかもしれません。それでも、冷たくも透明度の高い水と苔の森に癒され、最後はドキドキの無双洞探検が待ち受けるという短くも充実のコースでした。

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水太林道が最初に谷を横切る地点から入渓。堰堤がありますが左から簡単に巻けます。早速きれいなプールがお出迎えで、暑いからだをクールダウン。帰りには泥落としにも役立ちました。

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基本的にはずっとこんな雰囲気で、癒しの森をじゃぶじゃぶと遡っていきます。この日はお盆の長雨の影響で水量は多め。

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とにかく水がきれい!

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たまには小滝があって遊べます。

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入渓から1時間ほどで橋の下にやってきました。この上が通常、無双洞方面への登山口となっている広場です。

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橋の下にはちょうど腰掛岩があり、休憩に最適でした。

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遡行を再開し、二股を左に入ります。右を向いても左を向いてもあちこち水流があるところがあり、不思議な景色でした(言葉にするとよくわかりませんが…)。

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橋から40分ほどで大迫力の水簾の滝(すいれんのたき)に到着。まぁ、修行しますよね(笑)

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水簾の滝を登山道から巻いて、ここまで遡ってきた水太谷の水源となっている無双洞へ。ヘルメット、ヘッドライトを装着して探検開始です。

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実はここまで冷水対策のためウェットスーツを着てきており、それが狭い洞窟内でひっかかって破れないか気にしながらのプチ探検でしたが、内部はまさに絶景。ライトで照らすと水の美しさが一層際立ちます。

洞窟内は沢以上に冷気に満ちており、この日は上下とも薄手のウェットスーツを使用していましたがそれでも洞窟内の水には長時間入っていられませんでした。この水が流入しているからこそ、水太谷は周辺の他の沢より水が冷たいのだと思われます。

帰路は登山道経由で橋まで戻り、橋から下部は沢を歩いて簡単に戻ることができました。現在は道路工事中のため水太林道の上部が通行止めとなっていますが、工事が終われば沢に入らず林道歩きでも入渓点に戻ることができます。

水がかなり冷たいためウェットスーツがないと少々厳しいコースですが、盛夏にあまり水に入らず、無双洞にも入らなければ通常の沢装備でもいけるかもしれません。しかしここは装備を整えて満喫することをおすすめします。

※無双洞探検は管理者の許可が必要です。洞窟内は非常に迷いやすく、自然洞窟の探検経験がない方には厳しいと思われます。

 

・今回のタイム

9:40 入渓~10:45 橋の下 10:55~11:35 水簾の滝~12:05 無双洞探検 12:40~ランチ~13:20 下山開始~13:40 橋~14:10 入渓点

台高・蓮川庵ノ谷で沢登り

8/30(月)、台高山脈の迷岳にほど近い庵ノ谷で沢登りしてきました。丸滝谷水太谷に続き、今年の沢は3回目。

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今回は登りませんが、いつ見てもすごい山容の飯盛山を横目に蓮ダムへ。

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ダムからは右岸道路経由で庵ノ谷林道に入り(入口は車高2mまで要注意)、林道が沢を離れる手前の広場に駐車していざ沢へ。

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沢を横切る工事用道路(?)を歩いて右岸に移り、巨大堰堤を過ぎたところで斜面を下って沢に降り立ちます。

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入口から小滝があって楽しく登れます。しばらくすると8m滝へ。ここは朝日が入って綺麗でした。自分は右岸から巻きましたが、上の林道から崩れてきた砂利斜面のトラバースが予想外に渋く、見積もりの甘さを反省。同行者は左岸巻き。左岸の方が正解だったかもしれません。

8m滝を巻き終わると、再び立派な堰堤に出会いました。平成31年度(=2019年)とあり最近できたようで、ネット上の記録にはない堰堤でした。ご丁寧に左岸に階段が整備されており、堰堤を越えるとすぐに639mの二股でした。

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ちょうど二股にはイワタバコが↑

水量は1:1でしたが、ここは右の本谷へ。奥に大きな滝が目につき、近づいて見ると立派な連瀑が登場。

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中段が洞窟状にえぐれておりユニークな形状でした。これは少し戻って、左岸の植林帯から踏み跡をたどってまとめて巻きました。

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修行中の人(笑)

小滝をいくつかこえると傾斜が緩み、間伐材が沢の中に倒れこんでいるため、左岸の植林より巻き。その後二股となり、今度は左俣へ。右股は遠目に10mほどの滝が見えていました。

しばらく階段状となり、再び二股。左俣が本谷ですが、まずは右俣へこの谷の名物コウセン滝を見に行きます。

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落差40mほどで、ミストが気持ちのいい滝でした。

左俣との間の尾根を渡って本谷に復帰。このあたり地形図の岩壁マーク通り周囲は大きな嵓となっていましたが、本谷は階段状で問題なし。

次の二股では右が本谷のはずですが地形的に左が本谷に見え、若干悩むも水量がやや多い右へ。結局、右で正解でした。

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↑二股の上には石積みの跡と割れた一升瓶が。昔の山仕事の痕跡?

二股を過ぎると水量が一気に減り、源流の雰囲気に。

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↑点在する巨木が見事でした

源流の水を汲んで斜面を上がると左岸の小尾根に導かれ、そこで沢装備を解除。そこから10分ほどで稜線でした。

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反対斜面に眺めのよい岩場を見つけ、ランチタイム。

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大熊三山の白倉山方面が目の前に見えていました。

下山は大熊の頭北西尾根をたどって庵ノ谷林道へ。ところどころ迷い込みやすい枝尾根があり、GPSのお世話になりました。尾根上は生きた化石ともいわれるトガサワラと思われる樹もあり、非常に山深い雰囲気でした。

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大熊の頭より下山中、北側の景色。曽爾村の古光山~俱留尊山あたり?

 

結局ロープを出すことはありませんでしたが、 240cmスリングがお助け紐として活躍しました(そういう使い方に慣れてきました)。階段状のところが多く間延びした感じもありますが、序盤の連瀑とコウセン滝は見事で、初級のよい沢でした。ちなみにヒルは2匹見かけました。

巻きなどルート取りの判断に迷って時間がかかってしまっているので、今シーズンのうちにできるだけ経験を積んで、判断のスピードを上げたいと思います。

 

・今回のタイム

8:10 駐車地発~8:45 639mの二股~10:15 コウセン滝~12:30 稜線(ランチ)~12:50 大熊の頭~13:30 林道ゲート~14:25 駐車地

 

・参考にさせていただいた記録

ameblo.jp

wisteria.yokohama

(後者の記録は最初の二股で左に入っている様子)

三峰山のホソバノヤマハハコが咲き始めました

昨日(8/24)、三峰山にホソバノヤマハハコの開花状況を見に行ってきました。お盆の雨続きで日照時間が足りないではと心配していましたが、実際には例年通りのようでした。これからの見ごろが楽しみです。緑眩しくも風は涼しく、秋の気配を感じた一日でした。

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ジャルキャ・ヒマール登山隊2020 登山報告書が完成しました

もう先月のことになりますが、昨年のヒマラヤ遠征の報告書が完成し、関係各所へご報告させていただきました。
学生時代、「登山は報告書を出して終わり」とよく言われましたが、これでようやくジャルキャ峰の登山に一区切りついた気がします。
自分自身が再びこの山へ向かうかはまだわかりませんが、未来の自分が読んで役立つものとなるよう、恥ずかしい点も含めて書き残したつもりです。
ご興味ある方は、ご連絡ください。お送りいたします。
(データ版は無料ですが、印刷版は印刷費等ありますので有料になります)

追記/データ版が助成をしていただいた日本山岳会のページにて公開されました。ぜひご覧ください!

jac1.or.jp 

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暑い夏にオススメ! 甘くないエレクトロライトパウダー

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昨年のヒマラヤ遠征でサポートしていただいた縁から、ガイドとして、一登山者としても引き続き KODA Japan様に応援していただけることとなりました!
本当にありがたいことで、今後もそれに見合う活動をしていきたいと気が引き締まる思いです。

www.kodajapan.jp

ジェル、パウダーともに早速活用させていただいていますが、特に最近のマストアイテムはこのエレクトロライトパウダー。
大量に汗をかく暑い夏にはナトリウム補給が欠かせませんが、エレクトロライトパウダー1本で440mgのナトリウムを補給することができます。

いまの季節はすぐに温くなってしまうため、ペットボトル半分にエレクトロライトパウダーを溶かして傾けた状態で凍らせ、翌朝残りのスペースに冷水を入れて、徐々に融けるようにしています。
常にひんやり冷たい状態で飲むことができ、オススメです!

成分など詳しくはWebサイトをチェックしてみてください↓↓
https://www.kodajapan.jp/.../products/electrolyte-powder

気になった方はぜひ登山用品店で探してみてください~
レモン味とカシス味があります。個人的にはカシス味がお気に入りです♪

以下、僕のように理屈っぽい人向け(笑)の、細かい話…

運動時の汗には0.3~0.9%の塩分が含まれているそうです。つまり、1Lの汗をかいた場合、3~9gの塩分が失われる計算です。
通常、少量の汗では汗腺から塩分が再吸収されるそうですが、激しい運動で発汗量が多くなると再回収が間に合わないため、多くの塩分を失ってしまうようです。
食事からも塩分は摂れるため、同量の塩分をドリンクから補給する必要はないとは思います。目安として日本スポーツ協会では、熱中症予防の水分補給として0.1~0.2%の食塩を含んだ飲料を推奨しています。自分としてはだいたい、失われる量の半分程度ということだと理解しています。

エレクトロライトパウダー1本には440mgのナトリウムが含まれています。
塩分・ナトリウム換算式は、「ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)」のため、440mgのナトリウムは1.12gの食塩相当となります。
標準量としては500mlの水に対してエレクトロライトパウダー1本のため、1Lで880mgのナトリウム=2.24gの食塩相当量が補給できるという計算です。
冒頭に戻ると1Lの汗で3~9gの塩分が失われるため、運動時はやはり水500mlに対してエレクトロライトパウダー1本を溶かして、失われる汗に含まれる半分程度の塩分をドリンクから補給するというのがいいと思います。

もっと細かな話をすると(笑)、水分補給のためには塩分だけでなく糖質も含まれている方が吸収効率がよいため、水分補給という意味では糖質も溶かしてやった方がいいです。一般的にはスポーツドリンクにはナトリウムと糖質がどちらも含まれています。
ところで、エレクトロライトパウダーには糖質が含まれていません。これは敢えてで、運動の激しさにより失われる塩分量が異なるため、水分/糖質/塩分の補給量を各人がそれぞれカスタマイズできるという利点があります。
運動強度が高かったり気温が高いと発汗量が多くなりより多くの塩分が失われる傾向にあるので、その場合はパウダーを溶かす量を増やすといった方法がありますね。

ただこの夏の経験からすると、どんなに厳密に糖質や塩分を調整してドリンクをつくっても、温いと飲む気がなくなってしまうので意味ないです(笑)
というわけで結論としては写真の通り、半分氷・半分水の状態で家を出ると昼頃まで冷たい状態でいい感じです。
これはKODAジャパンのIさんに教えていただいた方法です。
糖質が含まれていないので、後味が甘ったるくなくさっぱりとしているのもよいですね。

参考:
飯塚病院 脱水と塩分
https://aih-net.com/eiyoubu/information/info_059.html
大塚製薬 効率的な水分補給
https://www.otsuka.co.jp/health.../heat-disorders/replenish/
ランニングの発汗で塩分がどれだけ排出できるのか調べてみよう
https://no-shukketsu.com/salinity_of_sweat/

金剛山丸滝谷で今シーズン初の沢登り

先日(7/16)、プライベートで今シーズン初の沢登りに行ってきました。昨年は結局一度も沢に行かなかったので、実に2年ぶり。
まだ梅雨明け前で増水中&天気予報が怪しかったこともあり、行程の短い金剛山丸滝谷をチョイス。2時間ほどで抜ける人が多いようですが支流の滝でロープワークの復習やショートロープの練習を行い、結局山頂まで行ってしっかり1日歩きました。その晩は疲労感が結構あり、沢はやはり運動強度が高いなと感じました。
ひさしぶりに滝を登りましたがやっぱり怖いですね…。しかしパートナーはあっさり下の丸滝をフリーソロ。インドアジムではこちらの方が登れるはずなのですが、メンタルが違うなと思わされました。とはいえ自分の力量でもいける谷はまだまだあるはずなので、夏が終わらないうちにまた行きたいと思います。

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入口から小滝が多くて楽しい。

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石ブテ東谷(左)との二俣。今回は右へ

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支流の滝で遊ぶ

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ショートロープの練習。たまにやらないと忘れますね

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パートナーは下の丸滝をフリーソロ

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上の丸滝周辺で砂金のようなものを発見(金雲母?)

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上の丸滝。これは左から容易に登れました

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詰めは蟻地獄

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 前回はガスの中だったので、景色が見れてよかったです。このあと太尾を下山して周回完了。

岳人8月号「筏場道」掲載!

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本日7/14発売の山岳雑誌「岳人」8月号に寄稿しています!
大台ヶ原に至る古道「筏場道」をご紹介させていただきました。
昭和36年大台ヶ原ドライブウェイが開通するまで、大台ヶ原登山のメインルートとして使われていた道です。
現在は台風による崩落で残念ながら上部まで抜けることができませんが、苔むす山道と清流、今でも湧き続ける秘湯など、入り口だけでも存分にその魅力に触れることができます。
かつてこんな道があったことを多くの方に知っていただけると嬉しいです。
全国の書店、モンベルストアにてぜひお買い求めください!