三重県単独最高峰・桧塚奥峰にマナコ谷ルートから登りました
台高山脈の明神平から三重県側に入ったところに桧塚奥峰という山があります。他府県と県境を接していない、全域が県内にある山としては三重県の最高峰となる標高1420mを誇り、標高が高く風が強いことから冬期は美しい霧氷が見られることでも知られています。最近は三重県松阪市選定による「まつさか香肌イレブン」という11座のひとつにも選ばれました。(ちなみに県境を接する山を含めた場合の三重県最高峰は大台ヶ原の日出ヶ岳1695mです)
奈良県側からは明神平から明神岳を経て縦走するルートが歩かれていますが、少々距離が長くなります。今回登ったマナコ谷ルートは三重県側の香肌峡(かはだきょう)の奥まで林道を入って取り付きますが、奈良県側より圧倒的に距離が短く、5時間足らずで往復できました。
荒れた林道のドライブがネックですが、お手軽に絶景を楽しめるおすすめのルートです。
青田発電所を過ぎ林道に入ると路面状況が一気に悪くなります。陥没、落石多数のため運転は慎重に。木屋谷雨量観測所の駐車場まではゆっくり走って20分ほど。
登山届の提出ポストがあり、まつさか香肌イレブンのステッカーが貼られていました。
林道からは上部の霧氷が見えていました。30分ほどで登山口へ。写真の通り標識がにぎやかなので見落とすことはあまりなさそうですが、そのまま林道を進むと難路の奥山谷ルートの方に行ってしまうので注意。
ここから植林帯の中を登っていきます。じぐざぐに道が付けられており、見た目ほどは傾斜を感じず歩きやすかったです。
巨岩の横を通るとやがて要注意箇所に差しかかります。
登山道が鋭角に曲がっており、気づかず直進するといつの間にか林道に入りこんでしまいます。これは林道から振り返って撮影したもの。ちょうどここで谷側の視界がひらけるため、景色を見る方に意識がいってしまうこともあり直進しかけました。
この先、何度も登山道と林道が交錯しますが、ここ以外はわかりやすく間違えることはありませんでした。
登山口から1時間弱で小屋が出てきます。中は広く緊急時のシェルターとしては十分。
小屋から15分ほどで植林帯を抜け、一気に視界がひらけます。感動の瞬間! 写真は明神平の北側の水無山~国見山~馬駈ヶ辻方面。振り返ると鎧岳・兜岳、俱留尊山や大洞山なども遠くに見えていました。
桧塚奥峰と桧塚の分岐目指して登っていきます。これほど霧氷が残っているとは思っておらず、嬉しい誤算。
分岐に到着し、まずは桧塚1402mへ。気温が上がり霧氷がサラサラと落ちる音が聞こえてきます。
桧塚山頂!
霧氷の尾根を堪能しながら、お次は桧塚奥峰へ。
三重県単独最高峰、桧塚奥峰1420m到着です。中央背後のコブは先ほどまでいた桧塚。
山頂からはすばらしいパノラマが広がります。台高山脈の主稜線が正面に見えました。笹ヶ峰~千石山~赤嵓山~池木屋山あたりが見えているはず。奥は大台ヶ原。その右には大峰山脈。
三重県側もたくさんの山々が見えていました。こちらは迷岳。
少し戻ったところからの展望。奥は明神岳~三ツ塚~前山。
絶景を満喫し、往路を戻って無事下山しました。
おまけ。帰路、松阪市指定天然記念物の青田の大カシ(おおだのおおかし)を訪ねました。道路沿いの看板をたまたま見つけて立ち寄ったのですが、この迫力には圧倒されました。
奈良県下北山村の「鬼の里」前鬼で1300年続く宿坊を訪れました
プライベートガイドのご依頼をいただき、3/20(土)~21(日)で大峰は前鬼の宿坊、小仲坊(おなかぼう)を訪れました。
奈良県下北山村の前鬼集落は修験道の開祖・役行者に仕えた鬼の夫婦の前鬼・後鬼が住み着いたのが始まりと言われています。5人の子どもたちがそれぞれ5軒の宿坊を営んでいましたが、明治時代の修験道廃止令によって修験者が激減したのを皮切りに次々と集落を去り、現在は五鬼助(ごきじょ)家の61代目、五鬼助義之さんによって小仲坊だけが維持されています。他の4軒の中には既に絶えてしまった家もあるそうです。
現代では釈迦ヶ岳の登山基地としての役割も果たしている小仲坊ですが、今回は登山というよりはゆっくり滞在して五鬼助さんのお話しを伺うことがメインテーマでした。
まずは1日目。下北山村までは国道169号線をひたすら南下する長い道のり。途中、上北山村のミツマタ群落に立ち寄りました。
奇遇にもこちらは前鬼のミツマタを移植したのが始まりだそう。ちょうど見ごろを迎えていました。
下北山村に到着し、まずは神秘的な七不思議の残る池神社へ。
北アルプスの穂高と同じ名前の明神池。一瞬信州にいるのかと錯覚するような風景でした。
前鬼に向かう前に、下北山村の中心部に位置するきなりの湯のレストランで腹ごしらえ。私は以前から気になっていたダムカレーをいただきました♪ 他にもジビエや特産品の「春まな」を使った定食など、メニューが充実しておりオススメです。
下北山村は奈良県で一番最初に桜が咲くところとしても知られています。すでに多くの樹が見ごろを迎えており、お花見気分が味わえました。あと1週間もすれば満開と思われます。
細い林道を慎重に通過して前鬼へ向かいます。道中、不動七重の滝の威容に圧倒されました。
念願の小仲坊さんに到着!
空模様が怪しくなってきており、天気が崩れる前に周辺を散策します。
2016年に文化庁によって認定された日本遺産のトチノキ巨樹群をご案内しました。ここは釈迦ヶ岳方面の登山道を少し進んだところにありますが、最後は登山道から外れる必要があり道標などはありません。ちなみに、実は日本遺産ガイド資格というものがあり、数年前に取得済みです。ここで役立ててよかったです(笑)
実物は圧倒的な迫力があります。こんな巨木が複数点在しています。
なんとか曇りの間に戻ってくることができました。宿坊周辺はミツマタの大群落となっており、これまで見たことのない規模に一同感動でした。ここには50年前は破竹が植えられていたそうですが、破竹が枯れた後にミツマタが芽吹き、現在の景色となったそうです。当時はミツマタなんて見かけなかったのだとか。今の風景も半世紀後にはまた違ったものになっているのかもしれません。
山の中でありながらお風呂があるのはありがたいです。入浴後、夕食をいただきました。
こちらは朝食。質素ですがお米とみそ汁が本当においしく、何回もおかわりしてしまいました。味噌は自家製の7年ものだそう。
初日の夜から雨となり、2日目は終日雨模様となりました。天気予報もあってか宿泊者は私たちの他に行者さんがおひとりだけで、広々としたお部屋を気持ちよく使わせていただきました。広い縁側を通してみる雨の風景もよいものでした。
あいにくのお天気ではありましたが、立派な石垣がいまでも残る前鬼集落の様子やトチノキの巨樹、五鬼助さんのお話し、怖さすら感じる不動七重の滝など、山に登らずとも時間が足りないと感じるほど充実した時間を過ごすことができました。五鬼助さんご夫妻はもちろん同宿となった行者さんにもじっくりと貴重なお話しを聞かせていただきました。皆さま、本当にありがとうございました。機会をつくってぜひまた訪れたいと思える場所でした。
追記:
今回一番印象に残った言葉は「『前鬼ブルー』っていうのはね、ここ10年くらいで急に言われだしたんですよ。ネットでね、バズるっていうんですかね、バズったんですよ!」と五鬼助さんが仰ったことでした。まさか五鬼助さんの口から「バズる」という言葉が出るとは思いませんでした…笑
ひさしぶりのプライベート洞窟探検@川上村
今日は洞窟探検チームJ.E.T. (Japan Exploration Team) の活動に参加して、川上村の洞窟を探検してきました~。
ツアー以外のプライベートで洞窟に行くのはずいぶん久しぶり。前夜は結構緊張していました。当然JETの活動にも参加しておらず今年度は幽霊部員のまま終わりそうでしたが、年度末にぎりぎり間に合いました。笑
一度に3つの洞窟をまわるという洞窟尽くしの一日でした。最初に入った場所は写真の通り岩が綺麗で、鍾乳石も状態がよく、立体的でユニークな構造と三拍子そろった洞窟でした~。アプローチの落石が危険すぎるので、もう行くことはなさそうですが…
皆の洞窟談義を聞いていると行きたい場所が増えて困りますね。笑 楽しい活動でした!
14時間半の激闘! 雪の近畿最高峰・八経ヶ岳日帰り
2/27(土)~28(日)で公募プラン「雪の近畿最高峰 八経ヶ岳」を開催しました。これまで冬の八経ヶ岳は狼平避難小屋泊での1泊2日で訪れていましたが、コロナ禍で不特定多数が出入りする避難小屋泊りが憚れたこともあり、初の試みとして日帰りでの実施としました。
今シーズンは後半に入ってから寡雪傾向となり、雪がなさすぎたらどうしようかという心配をしていましたが、直前の金曜日に雪が降り、逆に急遽スノーシューのご持参をお願いすることとなりました。当日は晴天とはいきませんでしたが上部は強風による巨大エビの尻尾のオンパレードで、さすが近畿最高峰は違うなと今回も感じさせられました。
初日はゆっくりめに集合して、西吉野観光。津越のフクジュソウと賀名生梅林を訪れました。
ランチはMoto DINERさんで。Googleマップでは好評価が集まる、明るい雰囲気のライダーズカフェでした。
ボリューミーでおいしいランチに大満足! デザートもいただきました♪
天川村に移動し、ペンションミルキーウェイさんにお世話になりました。1人1部屋が可能な宿泊施設がなかなかなく、5~6軒あたった末にようやく見つけたお宿でした。天の川温泉と天河大辨財天社がすぐ近くという好立地で、夕食の創作料理もとてもおいしかったです。
特に古代米と、ご飯の左上にうつっている里芋のあんかけコロッケ?が好評でした~。
翌日は暗い中、早朝5時に宿を出発。5時30分には熊渡登山口を出発しました。
暗い中林道を歩き、カナビキ尾根取り付きへ。途中、落石がありヒヤリとさせられました。カナビキ尾根の途中でアイゼンを装着し、高度を上げていきます。
カナビキ尾根を登り切り、川合からの主稜線に合流してしばらく進んだところで雪が増え足元をチェンジ。スノーシュー、ワカン、スーパーカンジキに各々付け替えます。
高崎横手から明星ヶ岳方面はうっすらトレースが残っていました。途中、トップリ尾への分岐に標識が設置されているのを発見。昨秋に新設されたもののようです。
無雪期は通常まいており、なかなかピークを踏まない日裏山にもいっておきました。
明星ヶ岳への登りは風の造形がすごかったです。
だんだんと雲の中に入ってきました。
風をこらえながら登り続け、まずは明星ヶ岳に登頂! ここから八経ヶ岳、弥山へと近畿の標高No1~3峰をつなぐ稜線縦走が始まります。
コンディションとしては固い氷のような残雪の上に中途半端に新雪がのっており、アイゼンでは沈むがスノーシューでは踏ん張りがきかずすべりそう、という状態。バランス感覚、体幹が試される道のりでした。
雪の状態に苦労しながらも、ついに近畿最高峰・八経ヶ岳へ!
周囲は手のひらを優にこえるサイズのエビの尻尾がついており、風の強さを物語っていました。
引き続き厳しいコンディションではありましたが、いったん下って我慢の登りで弥山小屋へ。昼食休憩をとった後、天河大辨財天社の奥宮でもある弥山へお参りです。
弥山からの下降中、一瞬日が差し青空がのぞきました。
美しい霧氷に歓声が上がります。
狼平まで下りるとだいぶ雪が減ってきました。
この後はこの日2度目の高崎横手を通過し、カナビキ尾根を下って無事下山! 疲れもあり帰着は20時と、14時間半の激闘となりました。
当初12時間程度の行程と見積もっていましたが、雪の状態もありかなりの長時間行動となりました。12時間でも14時間でも、いずれにせよ長いことに変わりはありませんが(笑) 特に上部はいやらしい状態でしたが、パワフルなメンバー揃いで無事に踏破することができました。ご参加の皆さま、本当にお疲れさまでした!!
雨と虹の屏風岩~住塚山~国見山
本日は公募プラン「柱状節理の絶景とプチ縦走 屏風岩~住塚山~国見山」を開催しました。
歩き出しからあいにくの雨。もう少しもつかなと思っていたのですが、強風もありなかなか鍛えられるコンディションでした。
人がいないからか、登山道の上でのびのびするシカやイノシシたちを見かけました。下山完了直前に虹のご褒美があり、報われた一日となりました。
2日続けて今日もフクジュソウ&柚野山&賀名生梅林
昨日に続き、今日もフクジュソウ自生地&柚野山&賀名生梅林をご案内しました!
1日違うだけでいろいろなことが変わりますね。
お花の咲き具合が少し進んでいました。
昨日は気づかなかったコケ(タマゴケ)に気づきました。
地元の方との出会いがありました。
実り多き連続開催でした。
皆さまご参加ありがとうございました~!