奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

「大台ヶ原登録ガイド」講習会で考えた大台ヶ原のいま

先日8月27日(日)、奈良県上北山村で行われた大台ヶ原登録ガイド登録講習会に参加しました。これを機に、大台ヶ原ってどんな山なんだろう? なぜ今ガイド制度なんだろう? ということを自分なりに整理してみました。

まず、「大台ヶ原登録ガイド」とは、今年の10月から運用が始まる制度です。

大台ヶ原登録ガイド制度は、自然ガイドとして一定の要件を満たした方を登録し、登録ガイドと一緒に歩いて頂くことで、大台ヶ原を訪れる方々に、より安全・安心に、より深く自然を楽しんでいただくことを目的としています。

 (大台ヶ原登録ガイドホームページより)

大台ヶ原の歴史は大峰山と比べるとそれほど深くはありません。大台ヶ原の入山の記録として、最も古いものは1708年に記録されているそうです。また記録は定かではないものの、紀州側(三重県側)の人々が生活のために、現在の西大台あたりまで入山していたと考えられるとのこと。

その後松浦武四郎の探検、古川嵩の開山の試みなどがあり、昭和11年(1936年)の国立公園指定、昭和36年(1961)年の大台ヶ原ドライブウェイ開通を経て、大台ヶ原は登山の山から観光の山へと変容していきました。

そこで現在、大台ヶ原で唱えられているのが「ワイズユース(賢明な利用)の山」ということ。(吉野熊野国立公園 大台ヶ原ホームページより)

紀伊半島本来の自然をよく残しているといわれる大台ヶ原ですが、現在は伊勢湾台風・ドライブウェイの開通による利用者増加・シカの増加などによって森林の衰退が進んでいます。そうした状況がある中で、森林の再生と利用との両立をはかるために導入されたのが、今回の登録ガイド制度である……という理解を個人的にはしています。

というわけで、大台ヶ原登録ガイドになるということは、単に資格が一つ増えたというような話ではなく、プロのガイドとして、利用者(登山者)に大台ヶ原の森林・生態系の貴重さや現状、それを守るために様々な人が活動をしていることを伝える最前線に立つことを意味するものと思います。

個人的にはやはりドライブウェイで頂上近くまであがれることがあり、登山の対象としては軽く見てしまっていた大台ヶ原ですが、今回の講習会での環境省の方や講師陣の熱い話を聞き、大台ヶ原を見直すきっかけとなりました。と、同時に、その魅力を余すことなく伝えることはそう簡単ではないなと、頭を抱えてもいるわけですが…。笑

とはいえ、ドライブウェイ終点につき車を下りた瞬間に感じる下界との空気の違い、森の瑞々しさ、頂上や展望台からの大展望etc…大台ヶ原には、言葉はなくとも通じる魅力が確実にあります。まずはいま一度大台ヶ原を歩いて、今回知った話を自分のものとしながら、背伸びしないガイディングをつくっていけたらいいなと思いました。

というわけで、熱が冷めないうちに、この秋は大台ヶ原に通いたいと思います。

vill.kamikitayama.nara.jp

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