国際登山リーダー研修会@神戸に参加しました
先週末はひさしぶりに紀伊半島を飛び出して大都会神戸へ。
10/29-30と2日間行われた日本山岳ガイド協会のIML資格認定研修会に参加しました。
IMLとは International Mountain Leader の略で、日本山岳ガイド協会が昨年、ハイキングやトレッキングガイドの国際組織である Union of
International Mountain Leader Associations(国際登山リーダー連盟)に加入したことで、世界基準での登山ガイド養成ができるようになり誕生した新たな資格です。
IML資格を取得することで、海外においては国際登山リーダー連盟加入国でのガイド活動ができるようになり、逆に国内においては訪日外国人に対して国際水準の技術を持っていることの証明となります。
今回は登山ガイドや山岳ガイドの有資格者を対象に、国際登山リーダー連盟基準との共通化を図る座学研修でした。
この後、来冬に雪洞泊を含む実地研修を経て、IML資格が認定されます(落ちなければ、ですが…)。
自分としては(1)世界基準の登山ガイドがどういったものが知りたいという興味と(2)インバウンドを見据えて国際資格を取得したい、という目的がありました。
実際には資格以外にも語学力や実地経験が当然必要なのですが、講師の先生方はもちろん経験ある受講生との交流含め、刺激的な2日間でした。
まずは机上研修で落ちていないことを祈ります…!
大峯奥駈道縦走〔最終回〕八経~釈迦~行仙 2年半ごしの完結!!
10/8~10、大峯奥駈道縦走シリーズの最終回を実施しました!
何度も計画しては流れていた八経ヶ岳~釈迦ヶ岳~行仙岳の未踏区間を、秋晴れのもとようやく埋めることができました。
これにより、2名の方が(女人禁制区間を除く)吉野から熊野までの大峯奥駈道を完走されました。本当におめでとうございます!!
1年間かけ大峯奥駈道を分割縦走するこのシリーズを始めたのが2019年4月。今回歩いたパートは2019年5月に当初予定していたものの、悪天候のため八経ヶ岳より途中下山となりました。その後、台風やコロナの影響でキャンセル続きとなり、2年半ごしの実現となりました。
数えてみると今回は4度目の再企画だったようです。辛抱強くお待ちいただいたご参加の皆様には本当に感謝です。
あまりのキャンセル続きに何か呪われているのでは?と思ってしまったときもあったほどでしたが、最後はこの日のためにとっておいたかのような好天のもと、八経ヶ岳~釈迦ヶ岳の大峯核心部をクリアし、続く南奥駈道もトレースすることができました。この2年半の間にメンバーの絆も深まり、長い待ち時間があったからこその和気あいあいとした雰囲気で、ハードな行程も全員そろって乗り越えることができました。特に釈迦ヶ岳を越えた2日目はテントを含む重荷を背負って13時間半行動という長い1日となりました。
もとはといえば2018年11月~12月にかけて、弘法大師の道の分割縦走を行った経験がこの奥駈道に繋がっています。弘法大師の道が無事歩けたことによって、より長い大峯奥駈道の実現が見えてきました。吉野・熊野・高野山が大峯奥駈道・小辺路・弘法大師の道でトライアングル状に繋がっていることに気づいたのもこのときでした。
今回、ガイドとしてトライアングルの二辺を繋ぐことができました。最後の一辺となる小辺路はまだまだ続くコロナ次第でいつのことになるかはわかりませんが、奥駈道と同じように諦めず粘り強くチャンスを狙っていきたいと思います。
この2年半、ガイドとしてさまざまなことを奥駈道から勉強させてもらいました。次は順峯(熊野→吉野)という声も一部から聞こえてきた気がしますし(笑)、未踏区間が残っている方もおられますので、奥駈道との縁はまだ終わりそうにありません。が、ひとまず公募プランとしてはこれにて完結です。
皆様、長い間本当にお疲れさまでした&ありがとうございました!!!
―大峯奥駈道縦走の軌跡―
2019/4/20~21 六田駅~吉野川柳の渡し~青根ヶ峰~五番関
2019/5/17~19 和佐又山ヒュッテ~大普賢岳~八経ヶ岳~川合
2019/10/14 和佐又山ヒュッテ~大普賢岳~阿弥陀ヶ森~大迫
2019/11/9~10 池郷林道~持経の宿~笠捨山~21世紀の森
2019/12/14~15 21世紀の森~玉置山~熊野川~熊野本宮大社
2021/10/8~10 行者還トンネル西口~八経ヶ岳~釈迦ヶ岳~持経の宿~行仙岳~白谷トンネル東口
三峰山ワサビ谷へ。登れる滝の多いお手軽沢
そろそろ沢シーズンもラストかも? ということでどこに行こうか悩んだ結果、三峰山のワサビ谷へ行ってきました。霧氷のイメージの三峰山で沢登りができるという意外性があり気になっていた沢です。ネット上に記録はあるものの遡行図は見つけられず、いまいち全体像や難易度がよくわからないまま向かうことになりましたが、階段状の容易に登れる滝がどんどん出てくるコンパクトながら面白い沢でした。
三重県側の月出登山口に車を停め、橋のたもとより入渓。左岸側から入りましたが右岸の方が薮が薄そうでした。すぐに出てくる堰堤は右から巻き、再度沢へ。しばらくは平凡で、水量1:1の二股で右の本流へ。淵を持つ滝があまりなく、1か所ドボンできそうな淵がありましたがスルーしてしまい、暑さを感じながらしばらく歩いてきました。↑の写真はようやく水遊びができると喜んで入ったところ、シャワーが首元に入って冷たい!となっている図(笑)
水はこの4日前に行った大峰・神童子谷ほどは冷たくなく、インナーにモンベルのジョン+0.5mmネオプレンを着ている状態では暑いくらいでした。上半身はそれほど濡れないのでネオプレンなしでよかったかもしれません。
開始当初は平凡でしたがだんだんと程よい滝が連続するようになり、どんどんと登っていきます。
入渓後、40分ほどしたところでこの谷最大の8m滝とご対面。右から巻くことが多いようですが、休憩しながら眺めていたところなんだか登れそうなラインが見えてきたので、練習がてらロープを出して登ってみることに。
出だしはハングしているので左から泥斜面をあがり、落ち口に向かって右上、最後は水流を渡って樹で支点をとりゴールしました。滝の音でコミュニケーションがとれずザックの荷揚げにやや手間取ったのは要改善です。登攀としては難しいものではありませんでしたが、やはり高さがあると緊張感があり、無事登れたことに満足しました。
8m滝が終わってもまだまだ登れる小滝が連続します。
8mほどではないですが、やや高さを感じる滝もあり。
標高を上げても水が多く、シャワークライミングが楽しめます。
ところどころ支流との分岐がありますが、水量の多い方を選んでいけば自然と本谷を詰めることになります。
やがて傾斜が緩み、一気に源流の雰囲気に。傾斜が落ちたところで右手の尾根に取り付くと最短で下山路となるゆりわれコースに合流できるようですが、私たちは水流を忠実に追っていきました。泊まれそうな台地が一箇所あり、のんびり沢泊も楽しいかもしれません。
やがて真っ白な八丁平に飛び出しました。この溝がワサビ谷の最初です。
何度も登っている三峰山ですが、沢装備で来たのは初めて。
誰もいない山頂でランチ後、ゆりわれコースから下山しました。
ホソバノヤマハハコはもう終盤の雰囲気。
ヤマボウシでしょうか、赤く熟した実がところどころ落ちていました。
山頂から小一時間でゆりわれ登山口に下山し、林道を歩いて月出登山口に戻りました。休憩、下山も含めて合計4時間とかなり短いコースながら、満足度の高いお手軽沢でした。8m滝を登るのに30分ほどかけているので、ロープを出さなかった場合の遡行時間は2時間足らずでしょうか。行程が短い分、濡れる前提で衣類・装備を充実させて、シャワークライミングを楽しむのがよい沢だと思いました。
<今回のタイム>
10:15入渓~10:55-11:40 8m滝~12:35八丁平~12:40-13:10 三峰山山頂~14:05ゆりわれ登山口~14:20月出登山口
川上村の奥の奥、吉野川源流の谷へ
昨日は川上村の奥の奥、吉野川源流の谷へ。
9月は日の入りがよくて絶景がさらに絶景になるそうです。
水の透明度に感動しっぱなしでした。
今シーズンはいろんな沢に行きましたが、一番きれいだったのは地元という(笑)
憧れの神童子谷で沢登り&キャニオニング
9/2(木)、今シーズン4回目の沢で大峰山脈の稲村ヶ岳から流れ出る神童子谷に行ってきました。大峰では弥山川とともにこの谷が沢登り発祥の地と言われているそうで、以前から名前だけは知っておりいつかは行ってみたいと思っていました。今回は山岳ガイドでキャニオニングガイド、青空ファン代表の橋本さんに連れて行っていただきました。
林道を終点まで入り、装備を整えていざ出発。2か所ほど陥没を過ぎたところで沢に下ります。
曇天だったため写真だといまいち伝わらないですが、水がすごくきれい!! なんとも言えない美しいブルーです。
泳がないといけないところもあり、お借りした3mmのウェットスーツが早速活躍しました。
昔は沢沿いに遊歩道があったそうで、ところどころ痕跡が残っていました。
シャワークライミングを楽しみつつ、たまに泳ぎつつ、どんどんいきます。
紀伊半島大水害のときの崩壊地を過ぎると、“へっついさん”と呼ばれるゴルジュ状の地形に出会います。これは振り返って上流から下流をみたところ。今回の水位は膝程度でしたが、深い時はもっとあるようです。へっついさんを通過すると左岸から湧き水がシャワー状に流れ込んでいて面白かったです。
上流は石灰岩が出てくるようになり、水流で磨かれた滑り台や、
ポットホールが見られました。
そして大きな釜をもつ赤鍋の滝に到着。左岸を登りますがつるつる、ぬめぬめで非常に滑りやすい。今年はお盆に雨が多かったものの、台風のように一気に増水する形ではなく長雨で徐々に水量が増えたため、苔や藻が流されずに滑るようです。
赤鍋の滝の左岸には切れかけたフィックスロープがあり、危険なため残置スリングとあわせて撤去(写真に写っているのはごく一部です)。自前のロープを出して通過しました。
赤鍋の滝のすぐ上にも立派な滝があり、復路はスライダーで滑って帰りました。
その後、しばらく平凡な河原歩きが続きます。入渓点~赤鍋の滝の区間に面白いところが凝縮されておりその後は間延びするので、遡行ではなく水遊びが目的なら赤鍋の滝周辺で遊んで折り返した方がよさそうです。
黙々と歩いて、釜滝2条7mとご対面!
滝のアップ。
遡行するだけなら左から巻けますが、せっかくなので直登にチャレンジ。ランチ後、順番に挑戦しますがなかなか登れず。右の滝の右壁を落ち口に向かって左上するラインですが、上部にいいスタンスがなく滑り落ちて釜に突っ込むを2~3回繰り返しました。ライフジャケット+ウェットスーツで体が守られている感じがあるので、恐怖感は全然なかったですが、装備がないとすぐに体が冷えてしまいそう。
橋本さんはオンサイトで抜け、流石。結局自分は3~4回目のトライで成功し、落ち口に出たあとは2つの滝の間の壁を直上して滝の上に出ました。直上するラインは一応最後にガバがありますが、気づかないとかなり怖そう。上部で落ちると危ないので要注意です。
釜滝の上で沢はすぐ二股にわかれ、左が稲村ヶ岳に突き上げる犬取谷ですが、今回は右のノウナシ谷へ。ノウナシ谷に入ってすぐの4m滝も直登にチャレンジし、これは左壁を一発で登れました。
いい時間になったので、ここからはキャニオニング編。ノウナシ谷入り口の滝は巻き下りましたが、釜滝は上段を飛び込み、下段をスライダーで下降。赤鍋の滝上部の滝も滑り、赤鍋の滝も滑って泳いで、どんどん下りました。
↑赤鍋の滝をスライダーで滑って振り返ったところ
この日は昼頃から小雨で、帰りは水が行きより温く感じ不思議でした。雨水の流入が結構あったのかもしれません。
実は釜滝を滑り降りたときにおしりを打ってしまい、4日たった今でも尾てい骨が痛いです…。滝を滑るのにもコツがあるようですが、あまりうまくできなかったようです。
とはいえ痛い目にもあいましたが全体的には憧れの神童子谷に分け入り、キャニオニング体験もでき非常に充実の1日でした。橋本さん、ありがとうございました。
もし次があれば稲村ヶ岳まで抜けたり、ノウナシ谷~犬取谷の周回なども考えてみたいものです。
<今回の学び>
- 3mmのウェットスーツはかなり暖かい。多少動きづらいが水に入ることが苦でなくなるので、冷水の沢にはあった方がいい。
- 水に飛び込むときは、着水の瞬間に鼻から息を出す。そうすると鼻に水が入りづらい。
- 滝を滑るときは、背中をつけておしりを少し上げると尾てい骨を打ちにくい。らしい…。
- ザックに空気が入っていると、泳ぎのときに後頭部にぶつかってヘルメットが押し上げられ視界が狭まる。ザックを下ろしてビート板的に使うか、お腹に抱えるか、メッシュザックなど空気を含みにくいものを使った方がいい。
- ライフジャケットをつけてハーネスをするとギアラックが全然見えない。ギアは肩掛けスリングで管理した方がいい? もしくはライフジャケットをライフベストなど薄手のものに変えた方がいい?(未検証)
<今回のタイム>
9:15駐車地発~9:25入渓~9:55へっついさん~10:05-10:35赤鍋の滝(残置整備)~11:30-12:30釜滝~12:35ノウナシ谷入り口の滝~12:50下降開始~14:15駐車地