奈良吉野の移住登山ガイド ちくちゅーの日記

山が好きで、山に住んでみたくて移住しました。山暮らし、ガイド報告、登山ネタetc.

満開を迎えた奈良県曽爾村・屏風岩公苑のヤマザクラ

4/10(土)、満開を迎えた奈良県曽爾村・屏風岩公苑のヤマザクラを訪れました。
奈良県でもっとも遅く咲く桜と言われており例年の見ごろは4月中旬~下旬ですが、ここも今年は早かったです。
下からのお花見のあとは屏風岩を縦走して、上からのお花見も楽しみました。
あわせて不退寺の源平しだれ桃も見に行ってきました。3色のお花が咲き乱れるユニークなハナモモです。
どちらも青空に映えてとても綺麗でした。

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大展望ひろがる侮れない低山 布引山地・錫杖ヶ岳

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錫杖湖から見上げる錫杖ヶ岳

今日は奈良県を飛び出して三重県は布引山地の錫杖ヶ岳へ。写真の通り鋭くとがった姿で標高わずか676mの低山にもかかわらず、渡渉・急坂・岩場・細尾根などがコンパクトにまとまった登り応えある山です。山頂からは360度の大展望が広がります。前夜の雨のおかげで空気が澄んでおり、遠く雪の御嶽山まで見えました。

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麓の錫杖湖畔の桜に期待してこの日程にしたのですが、今年は異例の早い開花で見ごろを少し過ぎていました。桜吹雪がきれいでした。

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今回は下之垣内東コースを登り、西コースを下る周回ルートです。安濃川の駐車スペースから下之垣内集落へ入り、登山口を目指します。

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非常にわかりやすい登山口。助かります(笑)

最初は林道歩きですが、何度か川を横切ってやがて植林帯に入っていきます。

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大峰より少し季節が進んでいるようでした。

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渡渉ポイントで見つけた景色。上の管から水滴がたれて土管に着地し、下の苔を育てているようです。数年後に来たらもっと苔が成長していたりするでしょうか。

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尾根にとりつくと結構な急坂が続きます。登山口から1時間ほどで主稜線に合流しますが、そこからはもっと急になり手を使う場面も出てきます。

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途中の小ピークから望む山頂。

下山に使う西コースが左手から合流してくると、頂上はもうすぐ。

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山頂直下には東屋があり、休憩に利用できます。

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最後に簡単な岩場があります。

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錫杖ヶ岳山頂に到着! 周囲は絶景が広がります。

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眼下には錫杖湖。右側の山は経ヶ峰。左奥の水平線は伊勢湾です。写真外ですがさらに左には伊勢湾の向こうに知多半島の湾曲が見えていました。海が見える山はいいですね。

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写真だとわかりづらいですが、経ヶ峰の右手には青山高原の風車群が見えていました。

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反対側に目を転じると鈴鹿山脈の大きな山並みがあります。一番奥の稜線が綿向山~雨乞岳~御在所岳あたりでしょうか。この右奥にどっしりとした雪の高峰が見え御嶽山と思われましたが、写真には写りませんでした。

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鈴鹿の左側はやや地味な山並みですが、烏山~那須ヶ原山~高畑山あたりの連なりとなります。錫杖ヶ岳は三重県亀山市出身の登山家、故・尾崎隆氏の功績をたたえ認定された「亀山7座トレイル」のうちの一座ですが、高畑山も同じく亀山7座トレイルの山です。

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一時「世界の亀山」として名をはせたシャープ亀山工場が目立っていました。

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展望を満喫し、下りにかかります。転倒、落石に気を付け慎重に。西コースの上部は急な階段となっていますが、やがて傾斜がゆるみ、何度か沢を渡ったら下之垣内集落の本法寺の裏に出てきます。

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本法寺に出る直前の古い石仏

ランチ休憩を含めてもトータル4時間という短い時間でしたが、いろいろな要素が凝縮された密度のある山登りでした。

 

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ちょうど見ごろを迎えていた長徳寺の龍王桜を見学して帰路につきました。

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長徳寺ではヤギが熱心にお食事中でした。

 

錫杖ヶ岳は二度目の訪問でしたが今回は視界がクリアで、その魅力を存分に感じることができました。北側にも複数のコースがあり、いずれはそこからも登ってみたいものです。付近の山も錫杖ヶ岳と同じく展望にすぐれた低山があるようですし、このあたりの山は雪の鈴鹿の展望台として冬に登ってみても面白いかもしれません。

朝晩肌寒い吉野と違って帰路は暑いくらいで、まぶしい日光と新緑に初夏と錯覚しそうになる平和な一日でした。

木の根道をこえて大峰北部の展望台へ 鉄山~鉄山平

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鉄山平より大峰北部をぐるり見渡す。手前右のピークが鉄山

大峰北部を歩いていると弥山から北にのびる尾根に顕著なトンガリ山があることに気づきます。鉄山(てっせん)と呼ばれ、その見た目通り急坂また急坂の連続で登り応えのある山です。頂上の前後にはそれぞれザンゲ平と鉄山平という展望地があり、天候に恵まれれば大峰北部を一望する最高の展望台となります。

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弥山北面、迷ヶ岳付近より望む鉄山

この日は午前中曇りで午後から晴れ予報。行程も短いのでゆっくり目に出発して、思ったより天気の回復が遅かったのですが帰路は景色ばっちりで狙い通り、いい一日となりました。

山中ではなんと大学の後輩に出会うというサプライズが。後輩といっても大学が同じなだけで直接の面識はありませんが、小さな大学だけにそれだけでもなんだか嬉しくなるものです。

この景色が全行程5時間で見られるとはすばらしいです。急坂また急坂で楽ではありませんが、アスレチック的でおもしろい山でした。

往路は幻想的な景色(笑)だったため、写真は帰路のものが中心です。

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みたらい渓谷を通り抜けてアプローチ。川迫川沿いに公衆トイレあり。

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大川口の橋のたもとから入山します。

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初っ端から急坂の連続です。手を使って三点支持で登ります。道自体は基本尾根沿いで、ところどころ岩場を左右にまくところがあります。鉄山まではちょっと多すぎるくらいテープがついています。

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30分ほど登るといったん急坂がゆるみ、やがて展望地(ザンゲ平)へ。正面奥にこれから登る鉄山のピークが見えています。

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ザンゲ平からは聖宝谷上部の崩壊地がよく見えました。ドラゴンの爪痕と呼ばれ、冬季は登られているようです。

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ザンゲ平からいよいよ鉄山の本領発揮。すごい木の根道が続きます。すべりやすく緊張が絶えません。鎖場も出てきますが、鎖に頼らず踏み跡を見極めた方がいいです。

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ライミング的な根っこ登りを続けて山頂へ。旧字で鐵山とあります。山頂は少人数なら休憩できるスペースあり。

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少し西側にいくと西壁の上に出て、大展望が広がります。眼下に川迫川の流れ。

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登山口から鉄山山頂まで2時間弱。時間に余裕があったため、もう少し先に進みます。あたりはシャクナゲ多め。

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鉄山から少し下ってすぐに登り返し、香精山?のピークへ。山名標識はなし。「山は楽しい」の札がありました。

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香精山から下ってさらに先へ。左奥は弥山。谷筋にはまだ雪があります。右手に目指す鉄山平の平坦地が見ています。その奥は修覆山でしょうか。このあたりの小ピークは巻けそうにも思えますが、素直に尾根上の踏み跡を行く方が無難です(帰りに巻こうとして失敗しました)。

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鉄山平に到着。意外に平坦ではなかったのですが、稲村ヶ岳山上ヶ岳~大普賢岳~行者還岳の大展望が広がります。

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大台ヶ原もしっかり見えていました。

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登ってきた鉄山のズーム。西壁がすごい。

展望を満喫して、往路を慎重に戻りました。帰りもところどころで展望がひらけ、飽きることがありませんでした。

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この角度からは珍しいかも? とんがった行者還岳。左下に落ちる尾根は西尾根。

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バリゴヤの頭~稲村ヶ岳。前穂北尾根のようといったら大げさすぎでしょうか。

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ズーム。あの南壁は登れるんでしょうか?

 

お馴染みの山々もいつもと違う角度で見ると発見がありますね。転滑落注意は言うまでもないですが、チャレンジする価値のある山だと思います。

美杉の新名所・ミツマタ群生地から学能堂山に登る

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一面にひろがるミツマタ

学能堂山の近くにミツマタがすごいところがあるらしい、という話を聞いて行ってきました。場所は三重県津市美杉町石名原の山林内で、「美杉の新名所」としてPRされています。近くにはさくら名所100選「三多気の桜」があり、あわせて訪れる人が多いようです。

chkch.hatenablog.com

訪問日は4/1(木)です。満開からはやや過ぎているようで白くなりかけているものもありましたが、なにせ膨大な数のミツマタが生えており元気な樹もまだまだたくさん、甘い香りと景色を楽しむことができました。

 

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現地は山林内となっており駐車場がないため、伊勢地地域住民センター(さくら会館)駐車場から歩き出します。集落内の細い道を通りますが曲がり角には案内板が設置されているため、道はわかりやすいです。住民センターには地図が設置されており、平日はお手洗いをお借りすることもできます。

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このあたりは伊勢本街道となっており、かつての常夜燈が残っています。

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振り返るとたおやかな姿の大洞山。

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道中、仮設トイレがあり有難いです。

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里道を抜け林道に入っていくとミツマタが見え始め、案内板があります。遊歩道がつけられていますが、この赤線の通り一周はできないので要注意。自分は一周できるものと思い込んで、最後は薮漕ぎするはめになりました…

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群生地に入っていくと早速一面のミツマタがお出迎え。

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甘い香りがただよいます。

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ミツマタの海! 正直これほどの規模とは思っておらず、感動的でした。

前鬼のミツマタもすごかったのですが、規模はこちらの方が広いです。

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展望デッキ。他にもところどころにベンチや丸太が設置されており、景色をゆっくり見ることができます。

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展望デッキの手前に林道の分岐がありこちらの看板があります。今回は標識で示されている右側の林道ではなく、左へ進みます。

地図を見ると一目瞭然ですが、右側の林道は蛇行しておりかなり距離が長くなります。とはいえ左は標識もなく林道と山道が交錯し地図読みが必要となるルートです。

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出だしは結構急傾斜。

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林道の分岐を何本か見送り、山道に入ってしばらくすると再び林道に出ます。今回は正面の尾根を直登して学能堂山の東尾根を登り、北尾根を下って再び林道に帰ってくる(写真右奥に出てきました)周回コースをとりました。

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尾根にとりつくと樹間から学能堂山と三多気の集落が見えました。

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東尾根につながる尾根をひたすらまっすぐ登っていきます。かなり急でそれなりの脚力がないと大変かもしれません。滑りやすいコンディションでなければ、こちらを下った方が楽そうです。

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ヒーヒー言いながら東尾根に出て、山頂に向かいます。頂上直下は自然林となり学能堂山にこんなところがあるのかと思いました。

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学能堂山到着。短い時間でしたがなかなかキツい登りでした。遮るもののない頂上からは360度のパノラマがひろがります。

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帰りは杉平への一般ルートを5分ほど下ったところで分岐を右に折れます。

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こちらは傾斜もゆるく歩きやすい道でした。周回にこだわりがなければ単純にこちらから往復するのが無難ですね。このまま林道を下っていくと展望デッキ手前の分岐に出ますが、距離が長いので今回は地図読みしながら往路を戻りました。

この日は三多気の桜とミツマタ群生地をハシゴしましたが、ともに美杉町のホスピタリティを感じよい一日となりました。道案内が丁寧だったり駐車場が整備されていたり、出会った方も皆さん親切で、また訪れたいと素直に思える場所でした。

 

ミツマタ群生地の概要、地図はこちら

www.info.city.tsu.mie.jp

現地ではもう少し詳しい地図が配布されています

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日々の開花情報はこちらが詳しいです

http://www.ztv.ne.jp/photoms/mitumata/mitumata.html

学能堂山へのルートはこちらの記録を参考にさせていただきました

yamap.com

大峰・山上参りの古道を歩く・琵琶の滝~中の滝

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優美な姿の中の滝

本日は公募プラン「大峰・山上参りの古道を歩く・琵琶の滝~中の滝」を開催しました。山岳雑誌「岳人」2020年8月号掲載コース+αで、古道をたどって2つの大滝と清流、森歩きを楽しむピークを踏まない山歩きです。

まずは下多古林道終点より、整備された歩道で琵琶の滝展望台を目指します。

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昨年秋に訪れた時より道が整備されていました。

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小滝も多く見ごたえがあります。

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吊り橋をわたって対岸へ。

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展望台前の岩場は通行注意。

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展望台の向こうに琵琶の滝が姿をあらわしました。2段50メートルの大滝です。

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展望台からも十分迫力があるのですが、ここからは踏み跡をたどって滝に近づきます。見上げるとその巨大さがよくわかります。

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お次は落ち口を目指します。途中、古くからあると思われる祠を通過。安全を祈願します。

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琵琶の滝落ち口。どうどうと水が落ちていく様は言葉にできない凄みがあります。

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再び森に戻り、じぐざぐの急坂をこなすと滑りやすいトラバースとなり、途中から下りの踏み跡に入って中の滝を目指します。

「中の滝」というあまりイメージの湧かない名前ですが、美しい形をしたいい滝なんです。

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ここまで岩がちな地形でしたが中の滝をこえると穏やかになり、苔を愛でる余裕がでてきます(笑)

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 とはいえ渡渉や、ロープをつかんで登るようなところもあります。

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地元では「たなもと岩」と呼ばれている場所。たなもととは台所の意味だそうです。岩の形がそれらしく見えたのでしょうか。

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さらに進むと石垣や木馬道があり、人の痕跡が確かに感じられます。こんな山奥まで人が入って仕事や生活をしていたとは驚きです。

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ふと足元を見るとヤマシャクヤクを見つけました。次はぜひ開花の頃に来たいものです。

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角千本淵に到着。角材が千本入るくらい大きい淵だから角千本淵だそう。たしかに巨大なプール状です。夏に泳ぐにはいいかも(笑)

まだまだ古道は続きますが、先は長いため今日はここで折り返します。

迫力の琵琶の滝と優美な中の滝、透き通るような水としっとりした緑が堪能できる、個人的にお気に入りの場所です。まだ落葉の時期とあって普段は見えないところから滝や稜線が見え、展望のよい山歩きとなりました。新緑や紅葉の時期も綺麗ですし、季節を変えてまた企画したいと思います。

 

夏に沢登りで訪れたときの記事はこちら

chkch.hatenablog.com

冬に氷瀑と化した琵琶の滝・中の滝を訪れたときの記事はこちら

chkch.hatenablog.com

修験道息づく「三多気の桜」を訪ねる

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多気の桜と大洞山

国指定名勝「三多気の桜」として知られる三重県津市美杉町三多気(みたけ)の桜並木を見に行ってきました。山でいうと大洞山の麓に位置し、この時期は桜とセットで大洞山の登山を楽しむことができます。歩道沿いに桜が続くため面というよりは線的な感じで、見渡す限りの桜!といった雰囲気ではありませんが、修験道に由来する歴史ある景観だと知るとより一層趣深く感じられました(詳しくは一番下にまとめています)。

樹種が多く高低差もあるため満開日が特定しづらいそうですが、今年は例年より早く多くの樹がほぼ満開を迎えているようです。山桜の中にはまだこれからといった樹もありましたので、もうしばらくは楽しめると思います。

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第一駐車場に停車し、公衆トイレに立ち寄って出発。ここから真福院まで緩やかな登り坂で徒歩30分ほど。その間、桜並木が続きます。三多気の桜とは真福院への参道に植えられた桜というわけです。写真は駐車場すぐの様子。

例年であればお花見シーズンには桜まつりが開催されていますが今年はコロナの影響で中止ということで、出店は見られませんでした。

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歩き始めてすぐ、夜桜広場の桜。

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山桜の紅い葉が美しいです。

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道の両側に桜

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途中、存在感ある茅葺屋根の家が。国登録有形文化財「田中家住宅主屋」で、江戸後期に建てられたものだそうです。こちらの記事によると現役の民家として使われているそうで驚きました。

furusato-shinbun.jp

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参道を進むと水田が見えてきました。写真を撮影されていた方に、ここが写真スポットだよと教えてもらいました。が、水田の向こうの桜は1本だけ早咲きのようで、なかなかタイミングをつかむのが難しそうです。個人的には背景の学能堂山のどっしりとした感じがいいですね。

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足元にニリンソウを見つけました

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水田から少し歩くと真福院に到着。寺院ですがまずは鳥居をくぐります。神仏習合の名残ですね。

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真福院の石段横には樹齢1000年以上と言われる大ケヤキがあります。この隣の巨大杉の存在感もすごかった! 写真には到底納まりきらないスケール感です。

ちなみに真福院の鳥居から山門まで石段が108段あるそうですが、数えていませんでした。実際どうなんでしょうか。(こちらのレポのマップより)

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山門を過ぎると蔵王権現をお祀りした蔵王堂が佇んでいます。

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ここでUターンして戻ろうとしたところ、裏側になにやら発見。これは住所? 山仕事の仮住まい? 修行の場所? いったい何だったんでしょうか。

駐車場に戻ると、駐車場の下にも桜並木が続き、昔の参道が残っていると係の方に教えてもらいました。さっそく歩いてみます。

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たしかに車道の横に歩道があり、その両側に桜並木が続いていました。車に乗っていては気づかない景色ですね。

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下りきったところから今後は車道をてくてく歩いて戻りました。

 

帰宅後調べてみましたが、真福院は正式には「御嶽山眞福院(みたけさんしんぷくいん)」といい、役行者蔵王権現を祭って開いたのが由来だそうです。桜の由来は899年ごろに理源大師が真福院にとどまって桜を植えたのがはじまりとのこと。

その後、真福院に深く帰依した初代伊勢国司・北畠顕能(あきよし)により現在の三重県津市美杉町多気(たげ)の国司館(こくしのたち=国司の住まい・仕事場=かつての多気御所=現在の史跡北畠氏館跡)から飼坂峠(かいさかとうげ=伊勢本街道随一の難所)を越えて真福院の山門まで8キロメートル余りの沿道に桜が植えられたそうです。その一部が現在に至るまで残り、数百年も咲き続けているというわけですね。

山桜は修験道における御神木ですし、三多気の桜の根底には修験道が息づいているということがわかり、すべてが繋がった気がしたのでした。

ちなみに、大洞山の名前の由来は真福院を訪れる修験者が持つホラ貝に山の形が似ているから…だそうです。ここにも修験道が!

*主に以下のサイトを参考にさせていただきました

眞福院と三多気の桜

www.info.city.tsu.mie.jp

 伊勢国と北畠氏

www.info.city.tsu.mie.jp

真福院の由来

www.mieshikoku88.net

開花情報

www.ztv.ne.jp

台高・明神平~桧塚奥峰~桧塚を歩く(明神平を取り囲む1400m峰シリーズ)

3/27(土)、公募プラン「台高・明神平~桧塚奥峰~桧塚/明神平を取り囲む1400m峰シリーズ(1)」を開催しました!

明神平を取り囲むように位置する6つの1400m級ピーク群(明神岳・桧塚奥峰・桧塚・薊岳・国見山・水無山)の全山登頂シリーズの初回で、明神平から三重県側へ入り、明神岳1432m~桧塚奥峰1420m~桧塚1402mと縦走してきました。桧塚奥峰は他の府県との境界上にある山を除き、三重県の単独最高峰の山としても知られている山です。

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まずは通いなれた道、大又林道終点から明神平を目指します。落葉の時期は明神滝がよく見えますね。

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日当たりのいいところは新芽が見られました。これはハシリドコロと思われます。山菜と誤認して食べられることが多い有毒植物で、「食べると錯乱して走り回ること」が名前の由来だとか。「ハシリドコロに触った手で目をこすると瞳孔が開き、眩しく感じられる(wikipediaより)」とのこと。要注意ですね。

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こちらはバイケイソウ。明神平への登りから明神平一帯までかなり広範囲に広がっていました。新緑の時期は見ごたえがありそうです。

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広々とした明神平を過ぎて、まずは明神岳を目指します。

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まずは一座目、明神岳登頂! といっても山というより森のコブといった感じのこんもりしたピークです。

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山頂の東側に少し行くと、南側がひらけ台高山脈の展望がひらけます。

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明神岳を過ぎ、台高山脈の縦走路とわかれ三重県側に入っていきます。明神岳から尾根を直進すると縦走路に導かれるため、分岐を見落とさないように。左に直角に折れる感じです。

明神平から判官平(ほうがんだいら)を過ぎて桧塚まで、一帯は自然林で新緑の時期は気持ちのいい尾根歩きができそうです。

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判官平を過ぎると崩壊地があり、北側の展望がひらけます。高見山や曽爾の山々が見えました。

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桧塚奥峰の山頂直下。振り返ると今日歩いていた明神平~明神岳の尾根が見えていました。正面奥の盛り上がりが明神岳です。

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そして二座目の1400m峰、桧塚奥峰に到着! 左から右奥へ、これからたどる桧塚への尾根が見えています。

大展望を満喫しながらランチをとり、いざ桧塚へ。

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途中、意外にしっかりした残雪がありました。シーズン最後の雪を踏みしめます。

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桧塚(右奥)へ。

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そして三座目、桧塚に登頂しました。桧塚奥峰からは下り主体となるので、登頂という感じはしませんが(笑)

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帰路、樹間から水無山・国見山の大きな姿が見えていました。奈良県側からはあまり目立ちませんが、三重県側から見るとどっしりとした立派なピークですね。

ほぼ往路を戻り、明神岳のピークだけは巻いて最短距離で下山しました。それでも行動時間7時間30分と、なかなかしっかり歩いた一日となりました。

今回は落葉の時期で展望に恵まれましたが、新緑の時期もよさそうだねと盛り上がりました。緑まぶしい季節にも訪れてみたいものです。